SBドライブが提供を目指すのは、通信環境や運用、メンテナンスを含めた自動運転サービスである(図2)。この中でソフトバンクは、通信に強みを持つ。SBドライブCTO(最高技術責任者)の須山温人氏は、「自動運転ではコネクティビティー(常時接続性)が不可欠」と語る(図3)。LTEや第5世代(5G)の移動通信を利用していくという。

図2 水面下で準備していたソフトバンク
図2 水面下で準備していたソフトバンク
SBドライブの設立に先行してソフトバンクは、中国最大の配車サービスを手がける滴滴出行などへの出資や、グループ子会社での自動車技術の開発を進めてきた
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図3 30歳代で固めた幹部
図3 30歳代で固めた幹部
SBドライブの設立は、佐治氏が2015年5月にソフトバンク社内のプレゼン大会で自動運転車を使ったサービスのアイデアを披露したのがきっかけ。その後、ヤフーを始めとするグループ会社から人材が集まった。
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 ソフトバンクグループに点在していたサービスや要素技術も積極的に活用していく。ヤフーには、ナビや乗り換え案内、ゲームなど様々なウェブサービスがある。ソフトバンク子会社には車載向けのセキュリティー技術や組み込みOS(基本ソフト)の開発を手がける企業もあり、それら経営資源をSBドライブに集めて一つのサービスに仕上げる。

 自動車メーカーとは「真っ向から競合することはなく、連携できる」(宮田氏)と考えている。確かに自動車メーカーの多くは乗用車を使って人を運ぶことに注力している。SBドライブとしては、「通信やウェブサービスなど、当社の強みを(自動車メーカーに)提供していける」(同氏)という。

中国を中心にアジア進出狙う

 SBドライブは、日本を皮切りにアジア市場への進出を狙う。それを見据えて、地域や目的などで多様化する自動運転サービスに対応可能な「複数のメーカーの自動運転車を扱えるプラットフォーム」(須山氏)の開発を進める。

 アジア市場への進出に向けた種まきも実施済みだ。特に目立つのが、アジア各国の配車サービス企業への投資である。中国最大手の滴滴出行を筆頭に、インドOLA社やシンガポールのグラブタクシー、さらには米リフトにも出資している。総額は10億ドル(1ドル=100円換算で1000億円)以上だ。

 ソフトバンクは中国EC最大手であるアリババグループとの関係が深い。韓国のEC大手のクーパンにも、2015年に10億ドル(1000億円)を投じた。ソフトバンクがアジアに存在する巨大な物流市場を強く意識している様子がよく分かる。特に中国は、グーグルが入り込めていない未開の市場だ。SBドライブの佐治氏は「アジアはソフトバンクが取ったというようにしたい」と意気込む。

日経ビジネスと日経Automotiveが共同開催する本サミットでは、「クルマとそれを取り巻く社会の未来」を予想するキーマンを招き、2030年に向けて自動車の将来像がどのように変わっていくかを展望します。