ステーターの巻き線を、断面が四角形状の角型銅線に変えたことが大きい。巻き線の占積率を従来の約1.5倍の60%に高められた。従来は、断面が丸い一般的な銅線だった。
巻き線の変更は、製造コストを下げるのにも寄与した。4本で1組の角型銅線を束ねて同時に折り曲げた後、全てまとめてモーターコアのすき間に差し込む。端部は2組分を一度に溶接する。工程は単純で、速く造りやすい。従来は長い丸形銅線をコアに巻き付けるのに、高価で複雑な動きを実現する設備を使っていた。
溶接は一般的なスポット式とみられ、溶接点の抵抗が大きくならないように工夫した。溶けると丸くなる溶接点は、丸みが小さいと抵抗が大きくなる。一方で丸みが大きいと、割れやすくなり信頼性が下がるという。小さすぎず、大きすぎない丸みにする溶接技術を独自に開発した。
磁気回路を見直し、小さなネオジム磁石を採用したこともコストを下げるのに寄与した。コアに使う電磁鋼板も変えた。モーターは小さくなったが、最高出力は従来比11kW、最大トルクは同8N・m高められた。
インバーターは体積を23%小さく、27%軽くした。電気部品を集積して実装。損失を抑えたIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスター)を採用して実現した。リチウムイオン電池は11%小さく、6%軽くなった。電池容量は従来品と同じである。

「増えるのは間違いない」
従来は内製品が主体だった新ハイブリッド機構の部品は、多くを他社からの調達に切り替えた。将来の増産に備える狙いがある。
リチウムイオン電池は、ホンダとGSユアサの合弁であるブルーエナジー製からパナソニック製に変えた。パナソニック製電池は、「フィット」の1モーター式HEVに採用している。インバーターは内製品から、系列のケーヒン製にした。クラッチ機構の構成部品も内製品が多かったが、アイシングループなどから調達する。
新ハイブリッド機構を採用する車種は、オデッセイにとどまらない。同車の開発を率いた中川真人氏(LPL主任研究員)は、「(新機構の採用車種が)増えていくのは間違いない」と断言する。生産量を大きく増やし、新ハイブリッド機構のコストをさらに下げたい考えだ。
なおガソリンエンジンの構成は、アコードハイブリッドの排気量2.0Lの4気筒品と基本的に同じである。大きく違うのは、三元触媒の配置だ。触媒を二つ使うのはアコードと同じだが、オデッセイでは一つにまとめてエンジンルーム内に配置した。
オデッセイのHEVの販売価格は、356万円から。目標販売台数は月2000台で、そのうち約半分がHEVになると見込む。
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