実は、ブリトニーに話を聞いているときに、こんなことを聞いてみた。

 「あなたの卵子から誕生した子供が大きくなり、あなたと面会したいと望んだらどうしますか」

 すると、ブリトニーは少し考えてから答えた。

 「その時になってみないと分からないけど、罪悪感を覚えるかもしれないから心の準備をしておく必要があるわね」

同性愛のカップルも利用

 多くの州で同性愛結婚が認められている米国では、同性愛カップルがエッグドナーを求めるケースも少なくない。男性同士のカップルであれば妊娠能力がそもそもないため、彼らはエッグドナーに加え代理母の力も借りて妊娠から出産に至る。エッグドナー・プログラムもそうだが、卵子提供と合わせ代理母を紹介するエージェンシーは少なくない。

 その際に、多くのカップルは優れた卵子を「選択」する。だが、人類の歴史を振り返れば、無数の偶然が人類の多様性を生み出した。精子と卵子を選択的に結びつける時代に、人類の多様性は維持されるのか。将来的に、オイディプス王が味わった悲劇が至るところで起きるのかもしれない。

 人工中絶が政治の争点の一端になる国で、避妊さえ悪徳と身構える人たちが数多く暮らす国で、同時に世界中の理解が追いつかないような進歩的アイデアがテクノロジーと結びついて合法的にビジネスとして成立している。極端から極端まで何でもありのこの幅広さこそ、文字通り自由の国の自由なゆえんだろう。