会議では新たな「危機シナリオ」が
山根:東京での国際会議「PDC2017」では、そういう未発見だが危険な小惑星の対策を話し合うのが目的?
吉川:そうです。「エクササイズ」と呼ぶプログラムにもとづいて。「直径100~250mの小惑星が2027年3月6日に地球に接近するが、当初は衝突の可能性が1%以下とされたが、次第に衝突の可能性が大きくなる」という設定です。事実だと誤解されないよう公開されている軌道データには、シミュレーションであるとして、赤字で「EXERCISE」と入れてあります。
山根:それにしても、「人類滅亡を防ぐために世界の代表が集まった」とは、映画みたいですね。
吉川:2015年のイタリア、フラスカティでの開催会議でも、同じ手法で議論しているんです。新しい小惑星が発見されたが地球に接近する確率は非常に低かった、ところが観測によって衝突の可能性が次第に高くなってきた。そういう状況設定で、各国がどう回避するかの「仮想議論」をするわけです。
今回は開催地が東京なので、東京に衝突する可能性がある軌道が設定されたんです。
山根:会議の開始後にも、新たなシナリオが出されるそうですね?
吉川:臨機応変にどう対応するかがこの「エクササイズ」の目的なので、どんなシナリオが出るかは事前には秘密にされているんですよ。
(続く)
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