山根:どれくらい正確に衝突場所がわかりますか?

吉川:誤差数十キロメートルくらいですね。

山根:そこまで正確に! たとえば「草加市を中心とする10キロ圏に衝突する」と計算で予測できちゃう?

吉川:そうです。小惑星の大きさによって被害がおよぶ領域がわかるので、そのエリアの人口からダメージを受ける人数も計算できます。

山根:その予測は、小惑星がかなり地球に接近しなければわからないでしょう?

吉川:いや、何十年も先の皆既日食が秒単位で予測できるのと同じで、太陽系天体の場合は、軌道さえ正確にわかれば50年先でも、日時も秒単位で正確にわかりますよ。100年を超えると誤差が大きくなりますが。

山根:驚いたな。

「はやぶさ」の制御も同じ技術

山根:吉川さんは天体の軌道計算が専門ですが、「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」の目標点に正確に着地できたのも、同じ計算による?

吉川:まったく同じです。

山根:2010年に「はやぶさ」は豪州のウーメラ砂漠に「帰還」しました。本体は燃え尽きましたが、分離した「カプセル」が着地した場所は「予定したポイントと200mとずれていなかった」と、現地取材の時に聞いて驚いたことを思い出しました。あの着地点の予測も、同じ計算による?

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吉川:同じです。着地予想点は誤差を含めて10kmくらいの楕円でしたが、実際には計算通りほぼ正確に着地しました。こういう技術を持っているのは、惑星探査機を打ち上げることができる国だけですが。

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