山根:地球に衝突する可能性がある小惑星があるぞ、と?

吉川:そうです。1980年代に地球に接近する可能性が高い天体があることがわかり、1990年代に入り、そういう小惑星を見つけようという活動が開始。1990年代末にアメリカで「リニア」(LINEAR=Lincoln Near-Earth Asteroid Research)というプロジェクトが発足した後、次々と地球接近天体(NEO)が発見され、一気に注目が集まったんです。

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 「小惑星」は、探査機「はやぶさ」が着地した「イトカワ」によって広く知られるようになった。
 小惑星は太陽系が作られた時に、地球や火星のような惑星になりそこなったもので、惑星のもととなった材料とされる。おもに火星と木星の軌道の間、小惑星帯と呼ぶ部分に多く、最大直径は900kmあまり、数メートルのものもある。「はやぶさ」が着地した「イトカワ」は細長い形をしていて長さが535m、直径は330mだった。

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 小さい小惑星でも衝突時の影響は甚大だ。
 6500万年前に地球に衝突した小惑星は直径10kmだったが、恐竜を初め地球上のほとんどの生物が絶滅したのだから。
 地球に降ってくるものを「隕石」と呼ぶが、それは小惑星帯から飛来したものとされ、地球の大気圏に突入して燃え尽きずに落下したものだ。よって「小惑星の地球衝突」は「巨大隕石の地球衝突」とほぼイコールだ。

50年先の「衝突」も秒単位で予測

吉川:数多くの小惑星が発見されるようになったのは、光学望遠鏡の技術進化のおかげです。望遠鏡に装着するCCDカメラの性能が上がり、とても暗く小さな天体でも撮影可能になったからです。

山根:デジカメが地球を救う手段って、CDDの技術者たちは泣いて喜びます。

吉川:ターゲットの小惑星の観測(撮影)データが多く得られれば、軌道が正確にわかります。軌道が正確にわかれば、計算によって地球のどこに衝突するかも予測できます。地震や津波、火山噴火などの自然災害ではいつ発生するかを知るのはまだ難しいですが、小惑星では「いつ」「どこに」が非常に詳しくわかるのが、他の自然災害と違う点です。そこで、地球に衝突するおそれが大きい小惑星について、事前に対策を打とうという活動が盛んになってきたわけです。

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