「Youtube」をチェックしよう。

 大ニュースがあると、しばらく時間をおいてからその関連映像が「Youtube」にアップされることが多い。「gravitational waves found(重力波を発見)」などで検索したとろ、すでにこのニュース関連ムービーが多々、アップされていた。世紀の発表から数時間しか過ぎていないというのに、「Youtube」に接続するたびに、映像が続々と増え続けていくのにも驚いた。
 テレビの時代ではないんだなぁということを、あらためて実感した。

 そして、「LIGO(ライゴ、レーザー干渉計重力波天文台)」による世紀の発表の瞬間のムービーを、遅ればせながら息をのんでクリック。

ノーベル物理学賞の本命

 最初の発表者は、LIGOを代表するカリフォルニア工科大学の物理学者、デビッド・ライツ教授だった。ステージの背景には「National Science Foundation」(NSF、アメリカ国立科学財団)の文字。場所はNSFがあるアメリカの首都ワシントンだったようだ。

 4人の発表者の先陣をきって登壇したライツ教授は、ちょっとひょうきんな印象の人でカタブツの物理学者というイメージではなかった。演題に立った彼は、左手のモニターに映し出されている何やら黒い円が2つ並ぶ宇宙画像らしきものをじっと見つめてから(じらすなぁ)、静かに会場に目を向けて、おもむろに、

 「レディース&ジェントルマン」

 と、語りかける。
 さらに、もったいぶった感じにひと呼吸おいて、「私たちは」と、口にし、またひと呼吸。
 そして……。

 「重力波を観測しました。私たちはやりました」
 "we have detected gravitational waves. We did it,"

 会場からは割れんばかりの拍手、拍手、拍手、拍手、拍手。
 (日本の記者会見のようなカメラのストロボ光の嵐は皆無)

 この自信に満ちたワンフレーズを聞いて、私は鳥肌が立った。
 それは、人類が初めて月に着陸した瞬間の、アームストロング船長の言葉、

 ”The Eagle has landed.”
 (イーグルは着陸した)

 に匹敵するものに思えた。
 いや、同じ思いをしたことがもう1回あった。

 2012年7月、CERN(欧州原子核研究機構)によるヒッグス粒子発見の発表だ。その発見は、即、ノーベル賞と言われたが、その通りになった。重力波の観測も、今年のノーベル物理学賞は確実でしょう。

 世紀の大発見に大興奮、眠気がぶっ飛びPCに齧りついたまま朝を迎えたのだが、重力波の観測がいかに壮絶な仕事なのかを初めてインタビューして、絶叫してしまった16年前のことを思い出していた。それは……。

(次回に続く)