重力波の伝達速度は光や電波と同じだが、重力波はどこまで進んでも減衰せず、あらゆるものを突き抜けていくという。となれば、ぶっ飛んだ夢を語ると、これから50~100年後、宇宙のあちこちを旅するビジネスマンにとって、電波ではなく重力波を利用する「重力波スマホ」が欠かせないものになる……。

発見×無謀な気概=イノベーション

 そんなバカなぁと思ってはいけない。

 誰も存在すら知らなかった電波が、「通信に使えるぞ」と、マルコーニが無線機を発明したことによって、ロンドンとパリの株式市場が直結、新しい経済環境が誕生しているのだ(「海底ケーブル」との競争がそれに拍車をかけた)。また、発明からわずか10年後の1905年(明治38年)。日露戦争での日本海海戦では、日本艦隊のみがマルコーニ式無線機(日本製)を搭載していたおかげで、艦隊の通信力によってロシアに勝利しているのだ。

 さらに言えば、その無線通信の凄さを知った日本の少年が、後に世界初の電子式テレビを発明するという成果を手にしているのだ(高柳健次郎)。新しい「波」が新しい時代をどんどん拓いていったのだ。

 物理学の発見が、後に思いがけないイノベーションをもたらすことは多い。優れた企業は、いち早くそれを取り込んで成長の糧にしてきた。となれば、屋台骨がグラグラのシャープが、「目の付けどころが違うでしょ」と「重力波スマホ」に取り組むくらいの「無謀なる気概」があればいいんですがね。

 ともかく、重力波発見の報に震えたのは、私にとっては「電波の発見」と同じくらい「大変!!」と受けとめたからだった。

 早速、震える手でキーボードを叩きまくり、深夜の情報収集を開始した。
 大事件、大事故、大災害のニュースに接すると、まずは徹底して初期情報を収集するのが常だ。
 そのできごとが、いかに大きな衝撃をもって世界に伝えられたかの痕跡は、その発生から時間を経るにしたがって消えていくからだ。

 「東日本大震災」の時も、私は約2週間にわたりあらゆるテレビ報道、ラジオ放送、ネット上にアップされる情報を徹底して収集、記録し続けた。その記録がハードディスクに数テラバイト分が残っている。それを見れば、たとえば、当時の民主党がいかに無茶苦茶な対応をしていたかもよくわかる(それは、歴史に残すべき価値がある)。

 ウェブ上でニュース検索をしてみると、一部の新聞がすでに第一報を流し始めていた。
 「どうやら重力波を観測したらしい」という噂は流れていたため、この日、その発表を待ち構えていた専門家たちもいたようだ。その発表の瞬間の様子はどんなだったのだろう。
 テレビでCNNを見たが、シリア問題などを延々とやっていてダメ(アメリカの大成果なのに!)。