ここで大事なことは、「重力波」は「波動現象」ですが、人類が今まで発見し道具としてきた「電磁波」の仲間とは大きく異なる特徴を持つという点です。その名が示すとおり、重力波は「重力」を発生する起源である「質量」が運動することで発生します。

 とてもわかりやすい日本語だが、急に「??」の世界に突入だ。
 わからないまま先に読み進むと……。

 その「質量」というものは、「時空」の構造という物理学の一大テーマを決定するために非常に重要な要素です。このことが「重力波」を使った自然の観察が、「電磁波」の仲間を使った観察と根本的に異なる世界(それがなんだかわからないところがもどかしいですが)を切り開くという期待をより一層高める要因ともなっています。

 ますます??だが、重力波の研究当事者が、「それがなんだかわからないところがもどかしい」と述べているくらいなので、専門外の人には(私も含めて)わからなくても恥ずかしいことではない。

アインシュタインの「宿題」

 では、重力波の研究者たちが、重力波の研究で目指しているものは何なのだろう?

 科学者たちが期待しているものは、
 アインシュタインの一般相対性理論の検証
 宇宙誕生のより初期の情報の取得、および宇宙重力波背景放射の検出
 非常に強い重力場での物理現象の観察  などです。

 なるほど。つまり、新しい物理学の構築であり、重力波が伝えてくる情報を手がかりに観測不能だった宇宙誕生時の姿を明らかにしたい、ということになる。

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