重力波は「波」の一種だが、100年間、発見されなかったほどの「波」なのだから、私たちにとって身近さはゼロだ。「そりゃ、一体何だ?」と、わからなくて当然(私だって、よくわかっちゃいない)。だが、「大変だ!!」ということはわかる(という思いで、このコラムを書いています)。

「電波の発見」に匹敵

 専門家も、重力波をわかりやすく伝えるのには苦労しているようだが、以下は、とってもわかりやすい説明です(「KAGRA 大型低温重力波望遠鏡」のウェブサイト)。

 人類は、太古よりつい最近まで可視光でしか自然を観察できませんでした。しかし19世紀に入って電波やX線が発見されると、遠くに一瞬で情報を伝えたり、人体や物質の中の様子が観察できるようになりました。そのため今まで全く未知だった世界への扉が開かれ、人類の知識の増大・世界観の変化に大きく役立ちました。

 そう、電波(電磁波)という「波」だって、人は152年前までは存在すら知らなかったのだ。

1864年 英国のマックスウェルが電波(電磁波)の存在を理論予想。
1888年 ドイツのヘルツが電波を飛ばす実験に成功。
1895年 イタリアのマルコーニが無線による通信に成功。
1895年 ドイツのレントゲンがX線の存在を実験で報告。

 電波もX線も、かつては存在すら知られていなかった「波」(電磁波)だが、今、一般の人たちはその理論なんてまったく知らなくても、テレビ、スマホ、カーナビ、がん検診と、これらの波なしにはあり得ない日々を送っている。

 その後も赤外線・紫外線やガンマ線など、次々と新しい「観測手段」が発見されるごとに、未知なる世界が人類に解き放たれています。これらはすべて「波動現象」を利用した情報伝達による自然観察と言うことができます。従って電磁波と同じ「波動現象」である「重力波」も、この歴史にならって新しい観測手段となり人類に未知なる世界を垣間見ることを可能にするであろうと期待されるのです。

 この説明を拡大解釈するなら、重力波の観測・発見は、電波の発見に匹敵するほど、「大変!!」なことなのだ(と、私は受けとめた)。

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