アレンジして楽しむ細長い風船「へびなが工作ふうせんセット」。タイで生産し、パッキングした上で日本に輸出している。

 タイはゴムの木の樹液の産地であるだけでなく、人件費も日本と比べるとずっと安い。先代の斉藤尋秀氏は活路を求めてタイに渡り、現地でB.K. LATEXという風船メーカーを見出し、生産を委託。できあがった風船をパッキングする会社をタイに設立し、日本に輸出するビジネスモデルを構築した。現在、海外に生産機能を持っている風船メーカーは同社をおいては他に例がない。これがマルサ斉藤ゴムの第一の挑戦だ。

 タイで生産している風船の販路は多岐にわたる。セブン-イレブンを始めとするコンビニ各社、主要なスーパーマーケット、ホームセンター、100円ショップ、土産物店。パッケージ化された風船マーケットにおける同社のシェアは約50%にのぼっている。コンビニやスーパーでもし色鮮やかな小さな風船がセットされた商品を見かけたなら、それはかなりの確率でマルサ斉藤ゴムの風船だ。

 同社がこれだけのチャネルを抑えることができたのは、品質と価格のバランスの良さに尽きる。

コンビニに鍛えられた品質とコスト

 日本の風船市場は約50億円。そのうちマルサ斉藤ゴムが生産しているようなゴム風船は30%に過ぎず、大半は宣伝装飾用の風船で占められている。絵や文字を入れて広告宣伝に使用されるため、風船自体の品質はさほど問われず、安さが重視されるマーケットだ。

 一方、同社が手掛ける風船の販路は小売店。買って使うのは子どもたちだが、背後には子どもが使うモノの品質に目を光らせている保護者と、消費者の声にとてつもなく敏感な流通業者が控えている。色はどうか、数に不足はないか、大きさや伸びにムラはないか、安全性に問題はないか。安さは免罪符にならず、品質管理を徹底しなければ販路開拓どころか契約継続もままならない。

 「特にコンビニには鍛えられました。値段を抑えつつ、品質向上を図らなければならないですからね。だからこそ、タイで日本規格の風船を生産してパッキングし、日本で販売するというビジネスモデルを磨くことができたのだと思います」

 大量生産する風船の品質向上に貢献したのが、現地のパートナー企業の熱意だ。タイで同社の風船を生産しているB.K. LATEXは、25年前には小規模な風船メーカーに過ぎなかったが、マルサ斉藤ゴムと手を組むことによって技術力を磨き、生産能力を拡張。売上を6倍に伸ばし、世界でも2、3位の風船メーカーにのしあがった。