現在、タイ国内のテスコロータスの店舗数はハイパーマーケットが約180店、スーパーマーケットが約200店。什器に「もしも」があれば大事故を招く。絶対条件である安全性の高さを武器に、オカムラはテスコロータスと足並みを揃えて事業規模を拡大していった。

 もう1つ、同社の原動力となったのが、タイの大手財閥セントラルグループ傘下のスーパーマーケット、トップスとの取り引きだ。

タイ国内に200店のスーパーマーケットを展開するトップスとの取り引きが、サイアムオカムラの成長に弾みをつけた。
タイ国内に200店のスーパーマーケットを展開するトップスとの取り引きが、サイアムオカムラの成長に弾みをつけた。

 「地道な営業のおかげで、2000年代に入ってトップスへの導入が決まりました。テスコロータスに什器を収めてきた実績や日本の会社だという信頼度も大きかったですね。さらにいえば、工場の涙ぐましい努力の成果でもあります」(ゼネラルマネージャーの井上純也氏)

 重量級の商品がずらりと並ぶハイパーマーケットと違って、スーパーマーケットの什器に求められる強度は低い。技術的なハードルがさほど高くないため、このカテゴリーはタイのローカル什器メーカーなど、安い価格を打ち出す競合が目白押しだ。そこで、同社はまずトップスの1つの店に試験的に導入してもらい、品質に評価を得た上で、工場で棚の板厚をぎりぎりまで薄くしコストを下げることに成功した。

本当の強みは「サービス」にあり

 ハイパーマーケットやスーパーの什器それぞれに求められる強度と価格。この2つをクリアしたオカムラのさらなる強みが、サービスレベルの高さだ。

 什器メーカーの役割は、製品を店に送ってそれで終わり、ではない。建築工事のスケジュールに合わせて現地で製品を組み立てなくてはならない。

 什器は1個1個の部品が細かく神経を使う作業のため、それなりのノウハウを持った人員確保が必要だ。だが、タイではとにかくスケジュール調整が難しい。

 「什器を納入するのは建物ができて内装工事が済んでからですが、ほとんどの場合、建築工事は遅れて進行します。かといって、什器の納期は遅らせられない。店のオープン日は固定しているからです。押せ押せのスケジュールの中、組み立て職人とワーカー(搬入要員)を手配して什器をデリバリーし、現地で組み立たら商品を陳列して棚を調整しなければなりません。テスコロータスもトップスもタイ全土で店舗を展開していますから、こうした一連の作業をタイ全土で常に同等のレベルで行う必要があるんです」(井上氏)

 本来は1日に10人、7日でのべ70人で、という1週間の工程のはずだったのに、直前になって3日の猶予しかなくなった。この場合、1日30人近い人員を急きょ集めなければ作業はとうてい追いつかない。

 「そういうことはよくあります(笑)。150人で済むはずが、突然200人必要になるということもあった。変更事項は多いですね。ワーカーも最低限の数を社員(グループ会社社員)として抱えていますが、必要があれば、何であろうと間に合わせなくてはなりません。施工が終わった後も、棚は恒常的に電気を使うので定期メンテナンスが必須です」

 どうやってそれらを乗り切っているのだろうか。

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