「最初にリサーチしたのは大学です。すると、大学のそばのセブン-イレブンでよく売れていることがわかった。大学生にとってはセブン-イレブンは自分の冷蔵庫みたいなもので、1日に1回は立ち寄っているんですね。中でも、よく買ってくれているのが女子大生。彼女たちは買っても一人では食べずに、教室で『ハイチュウ』を友だちに回して、みんなで食べています」

 大学には経済的に余裕がある家庭の子どもが通っている、と一口に言っても、学費がとんでもなく高い超リッチ大学もあれば、比較的リーズナブルな大学もある。その中で、「ハイチュウ」の支持率が高かったのは、月の世帯収入3万5000バーツ(約11万円)以上の家庭で、1日に200バーツ(約600円)以上のお小遣いを親からもらっているような女子大生。これは、タイにおいてはまぎれもないセレブ層だ。同じセレブ学生でも、男子になるとスナック菓子を好み、「ハイチュウ」にはあまり興味を示さない。と、性別による違いも見えてきた。

 社会人はどうかといえば、逆に価格にシビアになり、子どものころに慣れ親しんだ安い競合品で満足している女性が少なくない。子どもはボリュームとしては大きいが、「ハイチュウ」は普段に食べる菓子ではなく、土日に家族とショッピングモールに出掛けたときに買ってもらう菓子、と受け止められている。狙うべきターゲットが浮かび上がった。

自分の目で見て、4Pを作り直す

 「『ハイチュウ』をちゃんと好きな層が明確に規定できて、既に一定のファンがいる。自分の足で回り、目で見た結果は自信につながりました。そこで、さらに実態に迫ろうと、調査会社を使って、300人に尋ねたところ、150人は『ハイチュウ』を知っていた。いったん食べてもらうと、直近購買率が高いことも判明しました。リピート率も高いんですよ。競合品には決して劣っていない。特に、『ハイチュウ』独自のチューイング性には絶対の評価をいただいていることがわかりました。課題はブランド認知率を上げること。『ハイチュウ』を知ってもらい、とにかく食べてもらうことに優先的に取り組みました」

 ブランドを知ってもらおうと、池田氏は製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4のPを作り直した。

 まずは製品だ。2008年から販売している12粒入りのスティック型「ハイチュウ」だけでは、客との接点が少なすぎる。接点を増やすには商品のバリエーションを広げる必要があるが、既存製品とのカニバリズムは避けなければならない。

 こうして登場したのが、袋に入ったサワー味の「ハイチュウ」2種類(15バーツ=約45円)と、大袋入りの「ハイチュウ」3種類(35バーツ=約105円)、7粒入りのスティック型「ハイチュウ」3種類(12バーツ=約36円)だ。

タイのセブン-イレブンに必ず設けられている袋菓子コーナー。ブランドの顔をアピールできる貴重な場所だ。
タイのセブン-イレブンに必ず設けられている袋菓子コーナー。ブランドの顔をアピールできる貴重な場所だ。

 なぜ袋入りを追加するのか。タイのセブン-イレブンには売り場に袋入りの菓子を吊り下げて販売するコーナーが必ずある。このコーナー用製品であれば、従来の12粒入りスティック型とはバッティングしにくいし、酸っぱさが際立つサワー味は、既存品にはないフレーバーだ。カニバリゼーション(共食い)の危険は薄い。

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