もっとも価値が高い1Fにはチェックイン機能も備えたカフェを導入。一般の人も利用できるスペースだ。

 1Fはチェックイン機能も兼ねたカフェ。2Fから7Fまでが客室だ。建物として一番価値が高い場所である1Fに設けたカフェは外部の人間も利用できる。スペースを効率よく使うためのレイアウトだ。

 部屋は、1人向けの「ココソロ」、2人向けの「ココメイト」と「ココカップル」、3人向けの「ココファミリー」、4人向けの「ココパーティ」の4タイプ。3人分、4人分のベッドを並べた「ココファミリー」や「ココパーティ」の部屋は、2人部屋に慣れた目には新鮮だ。

子どもたちにのびのび遊んでもらいたいとココテルには必ずキッズルームが設けられている。

 1Fと2Fを結ぶ滑り台、白い壁に羊の絵が描かれた明るく清潔な部屋、子どもたちが楽しく遊べるキッズルームなどもココテルのコンセプトをよく伝えている。

ホテルはエンタメ? サービス業? いやいや……

 物件とのラッキーな出会いを経て、2016年2月の1号店オープンから5号店までトントン拍子、と言いたいところだが、ホテル業はそう甘くはなかった。松田氏はホテル業の実態に戸惑い、翻弄されることになる。

ココテル1号店のスラウォン店。駅から10分とやや歩くが人気は高く、常時高い稼働率をキープしている。

 「ホテルはサービス業だと思っていたらとんでもない。モノを扱っているビジネスでした。必要なモノを必要最低限の個数で購入し、ムダにせず欠品もさせないように管理するのがこんなに大変だったとは……」

 パンフレットやカード、部屋で使うベッドリネンやタオル、アメニティ、カフェで使用するカトラリーやメニュー、ナプキン。一つのホテルは何百というモノで形成されている。

 欠品する前にタイミングよくオーダーし保管する「適時適品適量」を徹底するのは容易ではない。「おもてなし」というキーワードでざっくり語られがちなホテル業は実は労働集客型産業なのだ。

コンパクトにまとまったココテルの部屋の備品。機能性に加えて、ワクワクとする楽しさの表現も忘れない。

 大量に購入すれば欠品を防げて価格も抑えられるが、今度は保管する場所が別途必要になる。

 「たくさん発注しすぎて外に倉庫を借りたこともありました。店舗数が多ければマクドナルドやスターバックスのように在庫管理をしっかりシステム化できるし、規模が小さければ個人が気を回してコントロールできる。その中間が一番難しい。ホテルを始めたのはいいけれどオペレーションが面倒くさく、毎日いろいろな問題が起きるのでもう辞めたい、というオーナーが世界中に溢れていることはリサーチして知っていましたが、それを身をもって痛感しました(笑)」

 部屋にあるべきモノがなければレビューに直結する。ホテル業で何よりも怖いのがこのレビューだ。単価もレビューを直撃する要素。単価を下げれれば客は増えレビューも上がるが、収益を増やそうと単価を上げた途端に集客は落ち、レビューは下がる。客は容赦してくれない。