王者・デュレックスは、タイで長く販売されているだけにオールドブランド化しつつある。これもオカモトにとってはチャンスだ。
デュレックスにはない若々しいイメージを訴求しようと、若者が集まる人気のクラブでカバーガールによるサンプリングを実施しているほか、ラジオで「コンドーム オカモト スンスンサム」(タイ語で003のこと)と連呼するCMを流している。

PTT(タイ石油公社が運営するガソリンスタンド)の男性トイレにはユニークな広告を投入した。用を足すと否が応でも目に飛び込んでくる位置に掲げた広告は、バナナに「003」をかぶせ、他社品との違いをアピールした比較広告だ。掲載許可が得られないため、ここに紹介できないのが残念だが、インパクトは抜群。「003」を男性客の頭に刻み込んだことだろう。
「確かに、『003』というと『ああ、あれね』とイメージされる方が増えてきました。ただ、『オカモト』のブランド自体はまだまだ。将来的には『オカモト』の名前そのものをブランドとして浸透させます」(肥田氏)
タイの市場に後発で参入したオカモトが世界に君臨するデュレックスに迫る、さらには追い抜くことができれば、そのプロセスは他の市場にも有効に働く。「オカモト」が「トヨタ」や「キヤノン」のようなグローバルブランドになる可能性はある。
縮む一方の日本市場
コンドーム業界は昨今のご多分に漏れず、少子高齢化の影響をもろにうけ、青息吐息の状況だ。
日本コンドーム工業会の調べによれば、コンドームの出荷数量は2006年頃から減少傾向をたどり始め、2010年にはついに300万グロスの大台を割ってしまった。訪問販売でコンドームをまとめ買いする家庭が多く、500万グロス近くを売り上げていた1990年代前半がウソのようだ。
2011年は270万グロス、2012年は250万グロスと減り続けたが、インバウンド需要により2013年には260万グロス、2014年には270万グロスとやや回復傾向にある。とはいえ、これも焼け石に水。凋落傾向を止めるすべはない。
業界にとって痛いのは、若い世代の人口が減っているだけではなく、セックスレスの傾向が日本中を覆い尽くしていることだ。デュレックスの調べによれば、年間あたりのセックスの頻度は日本が最下位。タイも中国もインドもベトナムもどこも日本よりはずっと多い。
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