「コンドームは医療器具なので、タイで販売する場合にはFDA(保健省食品医薬品局)から認可を受ける必要がある。しかし、海外ではコンドームは性病予防とバースコントロールの目的で使用されていて、“薄ければ薄いほどいい”とは必ずしも思われていません。一方、日本では避妊具として利用されているのはもちろんですが、快楽を追求する傾向も強いんですよ」(肥田氏)
料理で素材を重視するように、避妊具にも素材感(?)を求めてしまうのが日本人。逆に、外国人はあまりに薄いと「避妊できた!」「性感染症を予防できた!」という感覚を得にくいらしい。避妊具としての役割をまっとうするにはある程度の厚さが要る。その発想というか、思い込みがある以上、「001」を投入してもチャンスがない。
「001」が市場から認められない以上は仕方がない。タイ国内での配送や店舗フローといった効率を考え、オカモトは2011年に正式代理店を決定すると同時に「003」の認可を取得。タイでの販売を本格的に開始している。そして徐々に売上を伸ばしたところで、2013年に「003 アロエ」の認可を取得し、勝負に出た。


タイのチャネルは「コンビニのレジ前」
発売された「003」のパッケージデザインはクールでスマート。競合のデュレックス製品と比べると、格段に垢抜けている。
「003」のタイでの販売価格は69バーツ(約230円)。面白いのが2個入りであることだ。日本で発売している12個入りの「003」はタイでは発売されていない。「003」だけではなく、以前からタイで発売しているストロベリー風味の「オカモトストロベリー」、「ジェルプラス」などもすべて2個入りだ。
「日本では2個入り、3個入りは受けず、6個入り、12個入りが中心です。ASEANを始めタイも主流は2個入り、3個入り。理由は恐らく、買い溜めておくのではなく使用する分だけを買う。そのときいくら支払うかを重視しているからではないでしょうか。しかしながら、市場で『003』が受け入れられてきたことから、昨年末に『003』の10個入りの販売も開始しました。これは市場を見据えた次へのステップです」(肥田氏)
ストックよりもフロー。必要なときに必要な分だけ買うのがタイ流だ。それは、購入先にもよく表れている。
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