
オカモトといえばコンドーム。コンドームといえばオカモト。
日本人にとってオカモトはコンドームの代名詞だ。そのオカモトがタイの市場を着々と攻略しつつある。代理店経由で2011年からタイで販売を開始し、徐々に売り上げを伸ばしてきた。
といっても、シェアはまだ15%。推定シェア70%を占めるカンボジアや、20%のシェアを確保しているマレーシアと比べると見劣りすることは否めない。だが、可能性は大きい。バンコク市内に限れば、すでに手強い競合を抑えて売り上げナンバーワンに躍り出ているからだ。
10年以上前の製品が主力
タイは、世界最大のシェアを誇るコンドームの巨人・デュレックスの寡占市場。推定6割のシェアを持つ彼らの牙城を崩すのは一朝一夕ではいかない。
タイでオカモトが発売している全7種類のコンドームの中で、メインの武器となるのは最新製品…ではなく、日本国内では10年以上前に発売を開始した「003(ゼロゼロスリー)」だ。

このへんの知識があまりない方向けに説明すると、「003」はその名の通り、薄さ0.03ミリ台のコンドーム。その後の「002(ゼロツー)」や「001(ゼロワン)」といった薄ものシリーズの先駆けとなった。ただし、「003」が天然ゴムラテックス製なのに対して、「002」「001」はポリウレタンを採用している。
オカモトの子会社でタイ現地法人であるオカモトラバープロダクツのゼネラルマネジャーをつとめる肥田恵一郎氏は言う。
「日本人はコンドームに薄さを求めます。より肌に近い感覚を求めるんですね。その志向を踏まえて開発したのが、薄ものシリーズ。弊社の技術の特長である『均一な薄さ』を実現しました。薄くなることで密着性が高まり、また熱の伝わりが良くなることから使用者からの評判はすこぶる良い。昨年発売した『001(ゼロワン)』は外国人観光客からも指名買いされています」

日本観光に訪れる外国人の人気商品と言えば「おむつ」に「粉ミルク」に「キットカット(抹茶味)」。そして、これらに勝るとも劣らない人気を集めているのが、オカモトの「001」。主に中国人の爆買い現象で、オカモトの株価は3倍になったほどだ。
ここで、読者は疑問を持つことだろう。なぜタイでは、新製品であり外国人観光客に大人気の「001」ではなく、先行品の「003」を発売しているのか、と。
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