ロハスを背景に中国で人気の「ベジ婚」

 派手婚のインドに比べて、洗練された質素さを追求する結婚披露宴が、中国では流行しています。それが、精進料理だけを提供する「全素宴」です(中国では精進料理を「素菜」と言います)。

 中国では、クリントン元米大統領の長女のチェルシー氏や、中華圏で有名なシンガー・梁詠琪(ジジ・リョン)など、憧れのセレブがここ数年、披露宴にベジタリアンメニューを提供したことが話題になりました。

 その流れを受け、ブライダル企業や披露宴を行うレストランが「全素宴」 のサービス、いわば「ベジタブル結婚式」(ベジ婚)を展開し始めたのです。

 価格は10人掛け1テーブルで約3000元(約4万6000円、中国では人数ではなく、テーブル数に応じて料金が発生)。これは一般的な披露宴と同じ料金です。素菜とは言え、鶏肉の風味と食感の干し豆腐、蟹味噌風味のニンジンペーストなど料理の技術を駆使したメニューが次々と運ばれてきます。ベジタリアンや敬虔な仏教徒以外でも満足感のある、豪華な料理が楽しめるというわけです。

中国の若いカップルに人気の「全素宴」では、肉を使わない見栄えの良い料理が次々と出てくる

 中国では古来、素菜が親しまれ、精進料理は日本以上に発展しています。また本来、仏教徒はその教えによって、「動物性の食品を食べない」のが原則のため、現在でも仏教徒向けに上海市内をはじめ各地に多数のベジタリアンレストランや素菜を提供する飲食店があります。

 そのため、素菜が広く浸透しており、最近では若者の間で健康志向から素菜への支持が広がっています。

 以前から素菜を提供する店で、一般的な宴会や忘年会を催すことはできましたが、披露宴プランを提供し始めたのは最近になってから。近年、中国ではロハスや癒しの要素を日常的に取り入れる女性が急増する中、そうした女性たちに「全素宴」は注目を集め、結婚式に独自性を出したい意向と相まって、一気にトレンドとなったのです。