
韓国の図書館が始めた「本の物々交換」
韓国の最新エコ事情にも触れましょう。韓国は資源が少ないこともあり、エコ意識がとても高い国です。2013年のリサイクル率は59%と、トップのドイツ(65%)に次いでOECD加盟国中では第2位(OECD調べ)。エコバッグは当たり前で、ゴミの分別は日本より細かく、エコ意識ではアジアの中でも群を抜く優等生です。
ゴミ問題への意識に加え、物を大切にする文化もしっかりと根付いています。有名な店が、ボランティア中心で運営するリサイクルショップ「アルムダウンカゲ」。全国に140店を展開するこの店では、家庭で不要になって寄付された衣料品などを販売し、収益を社会的弱者のために使っています。韓国ではこの社会貢献型の事業モデルが評価され、とても人気が高くなっています。
韓国中部の忠清北道にある「曽坪郡立図書館」が始めた「本の物々交換」も話題になっています。利用者が所有する本1冊を図書館に寄贈すると、他の利用者が寄贈した館内所蔵の本を1冊持ち帰ることができる仕組みです。当初、交換用に400冊の本が寄贈され、そこからこのユニークなシステムがスタートしました。
韓国でもネット経由の電子書籍購入が当たり前になり、紙の本の読者人口は減少しています。図書館も期限内に返却する煩わしさから、利用者が減っています。曽坪郡立図書館では、紙の本を読む文化の活性化、利用者の増加を図るため、「本の物々交換」という、ソーシャルでシェアリングエコノミーの要素もあるサービスを始めたわけです。
こうして、中国、フィリピン、インドネシア、韓国の現状を見ると、アジアで「エコ」がトレンドになっていることは確かなようです。しかし、経済や国の成熟度によって、温度差があることも事実。先行する国の取り組みが、エコ後進国に波及することも考えられるでしょう。
本コラムでは、アジア各国の最新トレンドを発信している「TNCアジアトレンドラボ」の情報をベースに、トレンドを深掘りした記事を連載します。次回のテーマはアジア各国に巻き起こる「健康ブーム」です。タイで広まる「クリーンフード」、マレーシアで人気の「ビーガンレストラン」、フィリピンで話題の「オーガニックファームツアー」など、最新事情を取り上げ、その背景を探ります。
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