タイで人気のスマホアプリ「ねこあつめ」

 シンガポールの周辺国にも猫ブームは拡大しています。タイの首都バンコクでは、猫カフェが続々とオープンし、どの店も繁盛しているようです。バンコクで近年建てられる分譲マンションは、基本的にペットは禁止とされています。自宅では飼いづらいことも、猫カフェ人気を後押ししています。

 さらにキツネやミーアキャット、アライグマなど、さまざまな動物と触れ合えるアニマルカフェも登場し、タイ独自の進化を遂げています。

バンコクで人気の猫カフェ。様々なグッズも販売されている
バンコクで人気の猫カフェ。様々なグッズも販売されている

 猫関連のコンテンツビジネスもヒットしています。

 俳優のイッセー尾形が主演し、“女優猫”として人気の「ドロップ」が出演する邦画「先生と迷い猫」が今年1月にタイで公開されると、わずか9劇場の上映ながら、興行ランキング7位に入りました。

 さらに日本で大人気となったスマホアプリ「ねこあつめ」が、タイの若者を中心に人気を集めています。ねこあつめは庭に餌を置いて猫を集める単純なゲーム。若者たちは日本語版の「ねこあつめ」で遊んでいますが、操作方法を解説するタイ語のサイトも登場しています。

 タイの特徴は、猫ブームの勢いがコンテンツビジネスにも広がっていることにあります。ですから猫関連の映像ソフトやゲーム、書籍、キャラクターなどを展開するビジネスには、商機がありそうです。

 マレーシアやインドネシアでも、昨年あたりから猫カフェがオープンしたという情報が届くようになりました。シンガポールやタイに比べて、猫ビジネスはまだ立ち上がったばかりですが、今後はブームの波及が十分に期待できます。

 アジア各国で猫人気が広がっている理由は、ひと足早く流行している日本の影響があります。今はインターネットやSNS(交流サイト)を通じて情報が一瞬で世界に行き渡る時代です。日本で起こったブームは僅かなタイムラグはあるものの、すぐにアジアに伝播し、同じようにブームを巻き起こします。

 もう一つは、アジアの人たちも「癒し」を求めていることです。猫による癒し効果は、日本での猫ブームの一因ともされています。閉塞感や将来の不安、格差、ハードワークなどによるストレスは、日本人だけでなく、アジアの人たちも抱いている共通項。日本人もアジア各国の人も癒しを求めた結果、猫にたどり着いたというわけです。

 経済成長による生活スタイルの変化も一つの要因でしょう。アジア各国では都市化が進み、多くの人たちが公私ともに多忙を極めるようになっています。ペットとして考えた場合、猫は散歩が不要で、飼育するのにさほど場所も取りません。時間も手間もかからないという点も、忙しい都市型の生活スタイルに合っていると言えるでしょう。

 本コラムでは、アジア各国の最新トレンドを発信している「TNCアジアトレンドラボ」の情報をベースに、トレンドを深掘りした記事を連載します。次回は東南アジアで流行する最新スイーツを紹介します。インドネシアで人気の綿菓子ドリンクや、マレーシアでブームのハイブリッドスイーツを取り上げます。

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