巧妙なやり口で利用者を囲い込む

 GO-JEKのアプリでは、バイクを活用したサービス以外にも、クルマを配車するサービスも手がけています。引っ越しなど大きい荷物を運ぶ時に利用できるトラックの配車サービスも始めています。バイクタクシーと同じように、現在地と目的地を指定するだけで、クルマやトラックが来て、人も物も運んでくれます。

 さらに、最近ではマッサージや掃除、美容エステの専門員を指定の場所に派遣するサービスまでスタート。当初はバイクタクシーの配車アプリに過ぎなかったものが、そのアプリをポータルにして、様々なサービスを提供するマルチサービスアプリに生まれ変わっています。

 バイクタクシーを使った利用者を他のサービスに誘導したり、逆に他のサービスを使った利用者に対してバイクタクシーの利用を促したりするなど、相乗効果が期待できます。つまり、GO-JEKは配車アプリビジネスを昇華させ、プラットフォームビジネス化に打って出る戦略に、明確に切り替えているわけです。

GO-JEK上では様々なサービスを提供。プラットフォーム化戦略を推進し、囲い込みを図っている
GO-JEK上では様々なサービスを提供。プラットフォーム化戦略を推進し、囲い込みを図っている
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 プラットフォームを作り、その上に次々とサービスを加えていく戦略は、GoogleやAmazon、Facebook、LINEなどと、構造的には同じ。市民の足として使われているバイクタクシーを入口にプラットフォーム化を図り、様々なサービスを矢継ぎ早に展開して囲い込む戦略は、とても巧妙な方法です。

 前回の連載記事(「アジアで覇権争うUberとGrab Taxi」)で紹介したGrab Taxiも、GO-JEKと同じようなバイクタクシーサービス「Grab Bike」を展開し、Uberも同様の「UberMOTO」を開始。その他にも登録運転手が女性のみの「LADYJEK」というサービスが登場しています。

 バイクタクシー配車アプリ市場の競争はますます過熱。今後は、Grab TaxiやUberがGO-JEKのプラットフォーム化戦略を参考に、アプリに多様なサービスを載せてくる可能性は十分に考えられます。

 GO-JEKの新しい試みは、日本の企業にとっても参考になる点が多々あります。例えば、日本国内でバイクを使って宅配や出前代行、買い物代行などの総合的なサービスをアプリ1つで提供することは、可能性のあるビジネスでしょう。プラットフォーム化し、他の多様なサービスの提供を通じて囲い込むこともできます。GO-JEKのサービスを研究し、日本や他のアジアへの展開を検討することも有効です。

 本コラムでは、アジア各国の最新トレンドを発信している「TNCアジアトレンドラボ」の情報をベースに、トレンドを深掘りした記事を連載します。次回は東南アジアで広がる「猫ブーム」について。日本では猫のペット数が犬を上回る逆転現象が起き、「ネコノミクス」といった新語も世間を賑わしていますが、実は猫ブームはアジアにも広がっているのです。