アジアではフォロワー相手にモノを売る

 中国の状況を見てみましょう。中国で2015年に流行した言葉が「微商」です。

 これはユーザー数が6億人以上で「中国版LINE」とも言われるSNS「微信(WeChat)」を利用したセカンドビジネスのこと。日本で主流のネットオークションは不特定多数に向けて商品を出品する仕組みですが、「微商」ではある程度好みを知っている知人(フォロワー、友人)に対して、ニーズがありそうな商品を宣伝、販売します。

 具体的には、微信上に売りたいものを書き込み、買いたいフォロワーや友人がメッセージを送って購入を申し込みます。支払いは微信と連動した「微信支付(WeChat Payment)」や「アリペイ(中国の巨大ECサイト「タオバオ」で主に使われる決済サービス)」などの電子マネーで行われ、場所や時間を選ぶことなく売買が簡単に成立します。

 中国は、日本以上にネットショッピングやスマートフォン決済、SNSの利用が浸透しており、あらゆるものがネットで購入できます。勤め先や食事中のレストランへの配達に対応する中国独自のバイク便サービスがあることも、ネットショッピングの利用の拡大を後押ししています。

 また、近年は人民元高で海外の製品が安く手に入るようになったことも、微商が流行った背景の一つです。海外に住む中国人留学生が生活費を稼ぐために、「代購(本人に代わって商品を購入して中国へ送る)」ビジネスを微商で始めるケースも目立っています。微商で人気の商品は、コスメや食品、ベビー用品などで、市場規模は1兆円とも言われています。

中国の書店には微信でのセカンドビジネスを指南する本も並ぶ

 こうしたSNSを利用したCtoC(個人間)ビジネスの市場はタイでも拡大しています。LINEのタイムラインやFacebookページなどに様々な商品を投稿し、熱心に販売するユーザーが実に多い。多数のフォロワーを抱える女性が海外旅行で仕入れたコスメを売ったり、男性が趣味のバイク関連製品を売ったりしています。タイ人は副業を持つことに抵抗感がないこともCtoCビジネスが盛んになった背景でしょう。ただし、仕事を抜け出して郵便局で商品を発送する人も多く、問題になっています。

 SNSの自分のフォロワーに対して商品を販売することは、日本人の感覚ではあまり考えられない行為でしょう。しかし、アジア各国では仕事とプライベートの境目が曖昧で、気軽にSNSを通して売買などの話を持ちかける例が少なくありません。SNSを個人に対する商品やサービスの販売ルートと捉え、積極的に活用することも、アジア市場を攻略する際には必要な視点でしょう。

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