子ども達の成長から、大胡田さん自身が学ぶことは何ですか?

大胡田:私たち夫婦は二人とも目が見えません。そんな、私たちのことを、こころは自然と助けてくれるようになりました。ものを落としたら、パッと飛んできて拾ってくれる。もう、文字が大分読めるようになったので、買い物に行ったら「これはいくらだよ」と値札を読んでくれる。大きな変化です。いつの間にか、お互いに助け合うようになりました。
 ただ、響はまだ小さいですから、無駄な動きが多いですよね(苦笑)。歩いていても、あっちへ寄りこちらに回りと興味が赴くまま。途中で棒なんかを拾うことも。あー、男の子はこういう動き方をするんだったな~、と変なところで実感しています。

そんな二人に対して、親として心掛けていることは何ですか?

大胡田:できるだけ、子どもの言い分に耳を傾けることにしています。そして、じっくり話し合ってこちらの考えを伝えます。怒鳴ったり、頭ごなしにこちらの意見を押し付けたりしません。

分かろうという姿勢が相手を変える

なかなか忍耐力が必要ですね。

大胡田:相手の話を聞くのは得意なんです。子どもは聞いただけでは、なかなか前に進まないこともあります。でも、まず分かってやろうという姿勢が大切なんです。分かろうとすると、分からせようとしてくれるんです。

あきらめない姿勢の大切さを講演で話すことも(写真:菊池一郎)
あきらめない姿勢の大切さを講演で話すことも(写真:菊池一郎)

 大人同士の関係と同じですよね。こちらが強硬に出ると、相手も強硬になるものです。子どもとの関係には、人と人との接し方の原点があります。
 ただ、妻に言わせると、叱らなきゃならないときは叱った方がいいそうです……。実は、自分自身はそこがなかなか苦手なんです。でも、叱らなきゃならないときはありますよね。

司法試験に4回落ちて弁護士になるかどうか迷ったとき、お母さんの「迷ったら心が温かいと感じる方に行きなさい」という言葉を思い出し、5回目で合格したということがありました。今、自らが子どもを育てる中で、その言葉をどのように生かそうとされていますか。

大胡田:まだ、うちの子ども達がそこまでの岐路に立ったことはありません。ただ、これから先ですね。進路で大きく悩んだときには、絶対にそう言ってあげたい。

子育てを通じて、仕事で役に立っていることは何ですか。

大胡田:え~、まず忍耐強くなりましたよ。子どもは、話してすぐに分かることは少ないし、こちらが思っているような行動をとるわけでもない。実際には仕事の上でも、そういうことはままありますから。

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