伊藤:そもそも、特殊部隊同士の戦いはアメリカが最も苦手とする戦いです。特殊部隊は、一人で何でもできる人で編成されるものなんですが、これがアメリカの最も苦手とするところだからです。

成毛:そこでも物量で勝負しようとしたくなってしまうからですね。

伊藤:それに、アメリカという国は、おそらく日本に勝ったことで、勘違いしたのでしょう。戦争は相手が止めてくれないと終われないものですが、対日本の戦争では日本が「もう止めます」と言ったあとは一切抵抗しないでいてくれました。

 しかし、ベトナム、湾岸、アフガニスタン、どれをとっても相手は止めると言わないので、終わらない。戦争は終わらない。終戦にならないのです。

特殊部隊とゲリラはどこが違うのか

成毛:終戦にならないって、どうなるんですか?

伊藤:テロになります。テロという都合のいい言葉を使っていますが、要するに、正規戦を選ばない相手が仕掛けてくるゲリラ戦に負けているのです。

成毛:アメリカとしては、苦手な戦いを強いられていることになるわけですね。ところで、今ゲリラという言葉が出ましたが、特殊部隊とゲリラはどこが違うんでしょう。ゲリラとはいえ、アフガニスタンなどではそれなりに統制がとれているように見えました。

伊藤:作戦の目的が公にあるか、私にあるかの違いが大きいと思います。

成毛:なるほど。どうも、ベンチャーにも特殊部隊的ベンチャーと、ゲリラ的ベンチャーがあるような気がするんですよ。

伊藤:経営理念が公に傾いているのが特殊部隊的ベンチャー、私に傾いているのがゲリラ的ベンチャーでしょう。

成毛:世の中のためなのか、私腹のためなのかですね。どことは言いませんが、最初は特殊部隊的だったのにいつのまにかゲリラ的になっているベンチャーもありますしね。私が伊藤さんの著書を「ビジネス書」として読んだのは、こういった話が随所に出てくるからなんです。トヨタやパナソニックといった物量に恵まれたアメリカ的企業に、テラモーターズやバルミューダのようなベンチャーはどう立ち向かうべきなのか。あるいは、ベンチャーの攻勢を大企業はどう受けて立つべきなのか、立つべきではないかにも、戦闘と共通点があるでしょう。