成毛:それについても書かれていたのがとても印象に残っています。《日本という国は、何に関してもトップのレベルに特出したものがない。ところが、どういうわけか、ボトムのレベルが他国に比べると非常に高い。優秀な人が多いのではなく、優秀じゃない人が極端に少ないのだ》という指摘には妙に納得させられました。できる人が多いのではなく、できない人が少ないんですね。

底辺中の底辺が異様に少ないのが日本の強み

伊藤:それが日本の強さです。軍に限らず、底辺中の底辺が異様に少ないのが、日本の強みです。ですから、戦いに勝ちたければ、この強みをどう使うかを考えなくてはなりません。

成毛:アメリカはどうなんですか。

伊藤:アメリカという国は、誰がやっても勝てるように戦略を立てるのが得意な国です。信じられないほどの予算を使い、バカにデカい飛行機をつくり、人の土地に行って何か落っことして帰ってくる。このアメリカ流の戦い方は、戦い方さえ決まっていれば、誰にでもできることです。

 信じられないほどの予算をかけるのは、相手の国を石器時代に戻すくらいにまでしてしまっても、後からお金を使わせて元を取ればいいというしっかりした戦略があるからです。

 その戦略を元に、個人に期待せず、歯車として管理する。それができるのが、彼らの素晴らしい能力です。歯車は、いくらでも代えられます。

成毛:それが、どんな人にでも回れ右なら教えられるということなんですね。質はともあれ物量で圧倒するというのは、アメリカが第二次世界大戦を乗り切った要因の一つでしょう。

伊藤:そうです。ただ、アメリカには戦略はあっても、戦術がないのです。戦略を立てられる人、戦術を立てられる人はいても、戦術を実行できる人がいないからです。

成毛:ああ、なるほど。アフガニスタンでの戦い方などはまさにそうですね。戦術は皆無なので、戦略を間違えていると、すぐに弱さを露呈するわけですね。