盛り上がる上野の杜

成毛:先程、この上野公園の中にあるから風情があるというお話がありました。まさにその通りだと思いますが、上野そのものもだいぶ盛り上がっていますよね。たとえば国立西洋美術館は世界遺産に登録されましたし、2016年5月に東京都美術館で開催された『生誕300年記念 若冲展』は何時間待ちという行列が話題になりました。そして科博もリニューアル。上野がますます盛り上がりますね。

藤野:上野全体が盛り上がることは、上野の杜の住人である私どもも嬉しいですし、ありがたいことと思っています。「UENO WELCOMEPASSPORT」という、科博の他、国立西洋美術館、東京国立博物館、上野動物園、旧岩崎邸庭園、東京都美術館、下町風俗資料館、朝倉彫塑館、書道博物館の合計9施設の常設展等に各1回ずつ入場できるチケット(現在は終了)も大変好評を得ました。

成毛:以前、国立の3館、科博と国立西洋美術館、東京国立博物館とで使えるパスポートがありましたよね。

藤野:はい、それの範囲が広がったものです。今後は参加施設がもっと広がりますし、特別展にも入場できるようになる予定です。また、無料Wi‐Fiの整備や多言語化にも一緒に取り組んでいけないか、検討を始めています。上野は、外国人観光客がだいぶ増えていて、桜の季節などは日本人より外国の方のほうが多いくらいですしね。

成毛:そうなると、このあたりに宿泊施設がもう少し増えるといいですよね。上野くらいのミュージアムコンプレックスなら、外国人だけでなく日本人でも、宿泊してじっくり見たいという人も多いでしょう。足りないといえば、食事処もそうなんですよね。大人向けには渋い店がいくつもありますが、子ども連れでも入れるところは少ないように思います。まだまだ、上野人気に環境の変化が追いついていないかなと感じますね。

藤野:上野には、まだまだできることはたくさんあると思っています。たとえば、地方の修学旅行生などは「晴れたら上野動物園、雨なら科博へ行きます」というケースも多く、ここにもヒントがある気がしています。

成毛:生きている動物をあちらで見て、その祖先の骨格標本をこちらで見るというのも面白いですよね。それに科博の動物は動かないのでじっくり観察できますし。

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