“抜け”空間にも配慮

藤野:それから、ぜひ来館者の方には屋上にも上がっていただきたいんです。

成毛:先程上がりましたが、眺めが良く、ほっとできるスペースでした。面白いおもちゃが凝縮した科博の中にあって、休符というか余白というか、そんな印象を受けました。

藤野:詰め込むだけでなく抜くスペースもこういった施設には重要だと思っています。

屋上のハーブガーデンとスカイデッキ
屋上のハーブガーデンとスカイデッキ

成毛:抜くスペースといえば、ミュージアムショップの評判はいかがですか? 科博は他と比べるとかなり充実しているなと感じています。

藤野:ありがとうございます。

成毛:博物館や美術館を特集したテレビ番組や雑誌の記事でも、ミュージアムショップが紹介されていると行ってみようという気持ちになります。

藤野:よくわかります。私は六本木の国立新美術館の建設にも少し関わっていたことがあるのですが、あそこもミュージアムショップの重要性から従来よりもかなり広いスペースを確保しています。

成毛:顧客満足度を大きく左右しますよね。帰るときに、来るときにはなかった荷物が増えていると満足するものなんですよ。

藤野:今日もぜひ、お帰りの際にはお立ち寄りください。

成毛:先程からお話を伺っていると、藤野さんはお役人というよりもやり手の営業担当役員という印象を受けますね。科博にはいつからいらしているのですか。

藤野:2015年4月からです。直前は文科省の生涯学習政策局にいました。

成毛:それはどういったことを担当するところなんですか。

藤野:まさに科博などを所轄する部門です。

成毛:あら?(笑)。では、その頃と今とでは、科博の見え方がだいぶ変わったのではないですか。とはいえ、外からの視点も持っている方が副館長というのは、科博の強みの一つでしょうね。

藤野:ところで成毛さんにお願いがあります。『国立科学博物館のひみつ』の第3弾を、ぜひ作っていただきたいです。

成毛:でも、日本館と地球館はすでに取り上げましたし、前回はつくばの収蔵庫、今回も実験植物園と白金の自然教育園にもお邪魔しました。なので、もうやりつくした感もあるのですが……?

藤野:そこで、お子さん向けの本をぜひ。

成毛:ああ、なるほど。それにしてもやり手ですねえ(笑)。

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