今年も嬉しい悲鳴が

藤野:また、地下3階にはノーベル賞受賞者をはじめとした日本の科学者を紹介するコーナーを新設しました。

日本の科学者を紹介する展示
日本の科学者を紹介する展示

成毛:計画中に新たに受賞者が出て、スペースの確保が大変だったという話を伺いましたが、さらに昨年(2016年)、大隅良典さんが生理学・医学賞を受賞されたので、また一仕事増えましたね。

藤野:嬉しい悲鳴を上げています。過去の受賞者の方には、来館の際にご自身のパネルにサインをいただいているので、大隅先生にもぜひお願いしたいと思っています。

成毛:科博という身近な施設とノーベル賞がつながっていると感じられれば、子どもたちの気持ちも高まりますよね。

進化は確かに少しずつ

成毛:子どもたちといえば、3階にできた『親と子のたんけんひろば コンパス』も大人気だそうですね。

3階「親と子のたんけんひろば コンパス」
3階「親と子のたんけんひろば コンパス」

藤野:これまで科博では、未就学のお子さん向けのプログラムがありませんでした。ただ、幼児期の教育効果は最も高いとよくいわれていますから、その時期に単に知識を与えるのではなく、体験できる、コミュニケーションできる場を作ろうと考えたのです。

成毛:ボランティアの方が活躍する『かはくのモノ語りワゴン』も、体験を提供してくれますよね。

かはくのモノ語りワゴン
かはくのモノ語りワゴン

藤野:大変評判が良く、外国の方からの関心も高いです。

成毛:これまで素通りしていた人は、ぜひ立ち止まって話を聞いてほしいです。ストーリーが実によくできていて、話し方もとても上手ですよね。

藤野:プログラムはかなり練り上げていますし、ワゴンに立って説明しているのは、実演試験をパスした方です。やりがいを持って取り組んでいただいています。

成毛:それで完成度が高いんですね。プログラムは定期的に変更するんですか?

藤野:一気にどんと増やすのではなく、少しずつバリエーションを増やしていきたいと思っています。

成毛:時代ですね。以前はバージョンアップというと、Windowsも95から98へと一足飛びに行ったりしましたが、今は毎日のように少しずつアップデートして、いつの間にかすべてが新しくなっているような変化が主流です。そのほうが安心感があるし、小さな変化を楽しめるのではないかと思います。『コンパス』や『かはくのモノ語りワゴン』のような先進的な試みは、科博以外でも行ってほしいですね。科博にしかないのはもったいないですよ。

藤野:私どももそう思っているので、単に視察を受け入れるだけでなく、教材やノウハウも広く普及していきたいと考えています。

成毛:地球館も少しずつバージョンアップしていくと思いますが、残り3分の2についても期待していいでしょうか。

藤野:もちろんです。リニューアルは私どもの宿命だと思っています。科学はどんどん進化しますし、自然史はどんどん解明されていくので、科博は常に発展途上にあります。

成毛:そうですよね。恐竜の外見や植物の分類なども、子どもの頃に教科書で見たものは今や正確でなくなっているものもたくさんあります。

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