経済産業省は、国内トップクラスの高い技術や優れた事業アイデアを持ち、海外展開を目指すベンチャー企業約50社を選出した。2017年1月末から3月にかけて、米国シリコンバレーなど、世界4地域に分けてそれぞれ10数社ずつを派遣する。今回選ばれた企業は、世界で十分戦える潜在能力を持つ企業であるという一つのお墨付きを得たことになりそうだ。

 このプロジェクトは、「中堅・中小企業等イノベーション創出プログラム(飛躍 Next Enterprise)」と呼ばれ、15年4月に安倍晋三首相がシリコンバレーを訪れた際に発表した「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」の一環となるもの。
 企業の派遣先はシリコンバレーのほか、ニューヨーク、テキサス州オースチン、シンガポールの合計4カ所。それぞれ10数社ずつを派遣し、渡航費や滞在費などを補助する。滞在中には、現地のインキュベーターやベンチャー企業、既に進出済みの日系ベンチャー企業、法務関係者による進出アドバイスなどのセッションを設けている。
 従来、日本のベンチャー支援は、大学や研究機関の近くにベンチャー企業を集めるといったシリコンバレーなどの手法をまねるようなものが多かったが、今回の取り組みではもう一歩踏み込んで、現地のキーパーソンとの人脈づくりをきめ細かく支援する。ここで築いた人脈を事業に生かしてもらい、継続的にイノベーションを生み出せる産業構造を日本に定着させることを目指す。

「飛躍 Next Enterprise」のキックオフミーティングに集まった起業家たち
「飛躍 Next Enterprise」のキックオフミーティングに集まった起業家たち

 シリコンバレーへの派遣が決まったのは、患者に治療ガイダンスをする医療アプリ制作のキュア・アップ(東京・中央)、全自動洗濯物折りたたみ機を開発するセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港)、人工知能を活用した医薬関連ベンチャーのMOLCURE(東京・品川)など。

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