ジャパネットたかたを日本を代表する通販会社に育て上げた後、2017年にプロサッカークラブのV・ファーレン長崎の社長に転じた髙田明氏。経営不振だったチームを再建し、見事に1年で2部リーグのJ2から1部リーグのJ1昇格を果たすも、2019年はJ2からの再スタートになることが決まった。これまでの歩みをどのように捉え、経営を今後どのように進めようとしているのか。日経トップリーダー主催の通年セミナー「日経トップリーダー大学」の講演で、髙田社長自身が明らかにした内容に加筆した形で紹介する。

 私は講演で「ジャパネットで〇〇〇の商品を買った人は手を挙げてください」とよく聞きます。その人数がすごく少なかったとします。普通なら「こんなに少ないのか」とがっかりするかもしれません。しかし、私はそうは思わない。「わずかこれだけということは、まだまだ売るチャンスがある」と考えます。

 逆にたくさんの人が手を挙げたら、「この場でこれだけの人が買ってくださっているということは、よし、日本全国でもっと売れる」と思います。

70年間、一度も失敗なしの人生

 うまくいったりいかなかったり、人生は分かりません。さまざまな出来事をどう捉えるか。すべては考え方次第。それ一つで人生やビジネスは変わっていくと思います。

 私は70年間、1回も失敗したことがありません。もしかしたら他人から見たら失敗なのかもしれませんが、私はそうは思わない。それは失敗の捉え方の違いです。みなさんは結果をみて、成功か失敗かを判断しますよね。私はプロセスを見ています。

「70年間、1回も失敗したことがありません」と髙田社長は明言する
「70年間、1回も失敗したことがありません」と髙田社長は明言する

 私は失敗には2つあると思っています。やらなかった失敗と、やったけれど一生懸命やらなかった失敗です。過程の中で100%、200%の力を尽くしていれば、それは失敗にならない。私は常に全力です。だから失敗したことがないのです。

 2017年4月、経営危機に陥っていたサッカーのクラブチーム、V・ファーレン長崎をジャパネットホールディングスが子会社化したのに伴い、私はこのクラブの社長に就任しました。それからわずか8カ月で「奇跡のJ1昇格」となり、大いに話題を呼びました。

 そして18年12月1日、V・ファーレン長崎にとって初めてのJ1のシーズンが終わりました。最終的に18チーム中18位。残念ながらJ2降格が決まりました。

 結果はどうあれ、1年間、監督も選手もスタッフもよく頑張ったので、失敗ではない。強がりではなく、私は心からそう思っています。

 もちろん悔しさはないと言ったら嘘になりますが、それほど落ち込んでもいません。世の中には、自分の努力次第で変えられることと変えられないことがあります。今回の結果は変えようがない。それはいったん置いて、自分が頑張ったら変えられることに集中します。

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