オーナー社長が幹部に抱く2つの不満。2番目はこれです。

 「自律的に動けない」

 「自律」という言葉を辞書で引くと、「他からの支配や助力を受けず,自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること」とあります。企業で働く場合は「自分の頭で考え、行動すること」と言い換えれば、分かりやすいでしょう。

 オーナー社長が率いる企業は、中小企業がほとんどです。

 そして、もしかしたら中小企業で働くことに、こんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

 中小企業では、大企業よりも幹部の裁量が大きい――。

 ただ、現実にどうかと言われると難しいところです。働く側の心構えにもよるのでしょう。オーナー経営者は基本的にワンマンですから、社長から「あれをやれ」「こういうふうにやれ」と、細かく指示されないと怖くて行動できない幹部が意外に目立つのも事実です。

 中小企業の方が、大企業より指示待ち社員が多い――。

 これが私の実感です。

100人のうち3人でいいから……

 「全体に見る」ことと「自律的に動く」ことができる幹部がいるかどうかは、経営においてきわめて重要です。その意味で、多くのオーナー経営者の嘆きは正鵠を射ています。

 これも私の肌感覚ですが、社員100人の中小企業で、全体を見ながら自律的に動ける人材が3人いれば、会社は十分に回ると思います。3人のうちの1人は社長で構いません。だから、あと2人いればいいのです。

 100人のうちの3人――決して多い数字ではありませんが、クリアできている中小企業はごくわずかだと思います。

 実際のところ、上場している大企業の管理職でも、この2つの資質を兼ね備えた人材はそう多くはいないと思います。しかし、仮にそれぞれの企業群の中で、全社員に占める「全体を見ながら、自律的に動ける人材」の比率を比べたら、オーナー経営の中小企業のほうが低いと思います。

 なぜでしょうか。

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