オーナー社長が幹部に抱く2つの不満。まずはこれです。

 「会社全体を見られない」

 先に書いた通り、オーナー社長が率いる企業では、ビジョンも戦略も方針も社長が決めます。幹部の役割は、それぞれの職場で、社長の決定に従い、組織を素早く動かし、成果を上げることですが、それには社長と同じレベルの経営者目線を持つことが要求されます。

 ところが、現実の幹部は日々、目の前の仕事にあくせくし、「全体を見る」という大局的な視点を持てないことが多いのです。

自社の売上高を即答できない幹部

 私はここ7年ほど、中小企業の経営幹部向けのセミナーに講師として登壇しています。受講者の勤務先のほとんどは、オーナー経営です。

 そのとき、目の当たりにするのは、「中小オーナー企業の幹部が、自社のことを意外に理解していない」という事実です。

 セミナーでは自社の全体像について答えてもらう時間を設けています。といっても、難しい内容ではありません、「設立年月」「資本金」「売上高・利益額」「商品・サービスの特徴」「主な販売先・仕入先」「強み・弱み」など、ごく基本的な企業情報を、所定の用紙に書き込むだけです。

 ところが、これらを書き出すのに「ウーン」と詰まってしまう参加者が多いのです。

 驚くべきことですが、仕方のない側面もあります。

 大企業のように分業化が進んだ組織と違って、中小企業では、幹部にはあれもこれも、さまざまな仕事が降ってきます。中小企業の幹部は、いわば“何でも屋”です。自分の手を動かして対応しなければならない雑務を常に多く抱えています。

 その結果、日常の雑事に忙殺され、自分の足元しか見えなくなり、関心や興味がごく狭い範囲に絞られてしまいがちです。その結果、自社の資本金どころか売上高すら答えられない、という状況に陥るのです。

中小企業の経営幹部に自社の基本情報を質問しても、即答できずにお手上げ、ということが意外にあると著者は指摘する
中小企業の経営幹部に自社の基本情報を質問しても、即答できずにお手上げ、ということが意外にあると著者は指摘する

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