トーマツ ベンチャーサポート(TVS、東京・千代田)と野村證券が毎週木曜日の朝に共催している「Morning Pitch(モーニングピッチ)」はピッチイベントの草分け的存在。ベンチャー企業が大企業やベンチャーキャピタル(VC)、メディアなどに向けてPRする場だ。その1年間の総まとめとして、12月14日に「Morning Pitch Special Edition 2016」が開かれ、これまでに登壇した企業の中から、最優秀賞にGlobal Mobility Service(東京・中央)が選ばれた。

 ピッチイベントであるMorning Pitchの特別版開催は今年で4回目。毎年テーマを設定し、事務局が厳選したベンチャー企業数社が登壇し、その年の最優秀賞を選んでいる。

 「This is Japan!」というテーマが設定された今年は、日本ならではの製品開発や日本の社会課題の解決に取り組む7社のベンチャー企業が登壇した。どこにいてもピンポイントで位置を特定できる人命探査機器「ヒトココ」を開発するAUTHENTIC JAPAN(福岡市)など、様々な分野で日本の課題解決を目指す経営者が次々と白熱したプレゼンを繰り広げた。

 審査基準は、「課題は明確か? 共感できるか?」「This is Japan!のテーマに沿っているか」「プレゼンが上手か」の3点。厳正なる審査の結果、今年の最優秀賞には、Global Mobility Service(以下GMS、東京・中央)が選ばれた。

2016年の最優秀賞となった、Global Mobility Serviceの中島徳至社長(左)

与信審査が通らない人も車を使える

 GMSは、IoTとFintechを使って自動車の購入ローンやリースといった金融サービスにおける与信審査の垣根を取り払うことを目指している。

 日本国内でも、非正規雇用の人や個人事業主などは支払いの能力があっても、ローンやリースの与信審査で認められないことがある。GMSの調べによると、自動車の場合で日本国内の個人ローン通過率は7割、個人リース通過率は5割に留まる。日本国内で自動車のリースやローンの与信審査を通過できない人は、100万人に上るとみられる。

 こうした人々が自動車に乗ることができれば、収入が良い遠くの勤め先に通ったり、自ら新たな事業を始めたりして収入向上のチャンスにつながる。もっと多くの人々がクルマを使える新たな社会をGMSは目指している。

IoTを活用して自動車ローンやリースなどの改革を目指す(会場でGMSが使用したプレゼン資料より)

 そのビジョンを支えるのが、独自に開発した通信装置「Mobility-Cloud Connecting System(MCCS)」だ。携帯電話回線による通信機能、GPS機能、加速度検知、車両の遠隔制御などができる機能を手のひらに載るサイズのモジュールに収めている。これを車両に取り付けておけば、自動車の位置や運転の状況が分かり、確実に仕事に通っているのか、事業は順調かなども金融機関がチェックすることができる。これにより、これまでの与信審査では難しかった実際の働きぶりなども考慮できるようになる。もし、利用者のローン返済が滞った場合には、MCCSを使って遠隔操作で自動車をロックできる。自動車の運転状況を監視しているため安全に停止ができ、また返済を再開すればロックは解除できる。

自動車に取り付ける通信装置「MCCS」。自動車に接続し、運転状況や位置を監視したり、遠隔制御でロックしたりできる