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 そのために、スポーツを見るときの「ものさし」を提供することも検討している。例えば、サッカーを何人かで見るとき、各自の理解度によって試合展開を追う目線は異なる。それが、スポーツ観戦をとっつきにくくしている原因の大部分ではないかと木村氏は考える。普段から興味があり、よく理解している人にとっては、「相手のチームのゴールキーパーは、去年うちのチームから移籍した選手で、そのキーパーとうちのチームのフォワードの対決が今日の見どころだ」と分かる。しかし、たまたま誘われて初めて観戦する人は、見どころも分からず、何を楽しめばいいのだろう……と戸惑ってしまう。こうしたことが多くのプロスポーツで起こっている。

 

お手本は高校野球

 「一方、高校野球はものさしを上手に提供できていますよね。甲子園に出場するまでのドラマを語った上で、誰に注目してほしいのかを視聴者に刷り込むために、みんなが同じ気持ちで試合を楽しむことができます。

 18年夏の甲子園大会も非常に盛り上がりました。決勝戦には、大躍進した秋田県の金足農業高校に頑張ってほしいと応援しつつも、さすがに大阪桐蔭高校には勝てないだろう……という気持ちでみんなが注目しました。そのため、金足農業が大敗しても、大きな感動を味わうことができたのです。

 ところが、プロスポーツになると、途端にこのように事前にものさしを与えるセットアップがあいまいになってしまいます。それを、この新しいプラットフォームによって解消したいのです。今日の試合、あるいは今シーズン、自分はこういうことを目標にしたいということを選手から発信する場を設けます。それを見ればみんなが同じ目線でスポーツを楽しむことができて、応援したい選手も生まれやすくなります」(木村氏)

 これが、ミクシィが新たに目指すスポーツ事業の根幹だ。

 「SNS『mixi』しかり、モンストしかり、ミクシィは『コミュニケーション』という哲学を明確に持つ、稀有な会社。この強みを生かすことで、日本のスポーツはもっともっと面白くできる」と木村氏は断言する。

 (構成:尾越まり恵、この記事は書籍『自己破壊経営 ミクシィはこうして進化する』を再編集しました)

■変更履歴
記事冒頭で、「ミクシィが生み出したスマートフォンゲームアプリ『モンスターストライク』は、2018年10月のリリースから5周年を迎えた。」としていましたが、正しくは「2013年10月のリリース」でした。本文は修正済みです。[2019/05/10 12:12]
全世界4500万人がダウンロードしたゲームはこうして生まれた

 ミクシィ木村弘毅氏の著書『自己破壊経営 ミクシィはこうして進化する』が発売になりました。スマートフォン向けゲームアプリ「モンスターストライク」(モンスト)の誕生秘話や、これまでほとんど語られなかったモンストの戦略。そしてミクシィが新たな組織で挑むコミュニケーションの未来を木村氏が語ります。また、ミクシィの笠原健治会長や千葉ジェッツふなばしの島田慎二社長など、関係者へのインタビューも盛り込みました。

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