閉店というのは、私にとって許せないこと。数は少なくても、ココイチを選んで通ってくれているお客様がいた。そのお客様がもう店に来ることができない。もっといえば、地域の皆様の期待に応えることができなかった。それが何より悔しい。

  • “繁盛”すべての原点は接客にあり
  • 私達は接客サービスにおいても地域一番店を目指します。
  • ニコニコ いつも笑顔でお客様に接します。
  • キビキビ いつも機敏な動作でお客様に接します。
  • ハキハキ いつもさわやかな態度でお客様に接します。

 これが私がつくった壱番屋の社是です。略して「ニコ、キビ、ハキ」。閉店はこの社是が守れなかったことにほかなりません。ある日突然、知らない名古屋の企業が福島にやって来て、「商売になりそうだから土地を貸してください」と大家さんに頼んだ。そうした協力があって店を開くことができたのに、やっぱり儲からないからやめますだなんて、大家さんにもお客様にも、あまりに無責任で罪なことです。

何年たっても状況は改善しない

 立地は決して悪くありませんでした。JR福島駅から車で10分ほどの片側一車線の県道沿いにありました。座席数は標準的な規模で、駐車場もあります。1996年にオープンした397番目の店でした。

 ところが、開店して1、2年たっても、売り上げが伸びない。私が率いていたときのココイチは通常、最初は認知度が低く、客数が少ないのですが、時がたつにつれて客数が増え、売り上げも伸びてきます。カレーの辛さやご飯の量、トッピングを選べる楽しさ、そしてきちんとした接客が口コミで評判を呼ぶのです。

 残念ながら福島森合店はそうならなかった。3、4年たっても状況は改善しない。当然、赤字でした。

 アンケートで目立って満足度が低いわけでもない。不振の原因を探ろうと、自ら店に定期的に出向き、北海道・東北エリアを統括するスーパーバイザーや店長と話し合い、考え得る限りの手を尽くしました。

 ニコ、キビ、ハキの接客の基本を徹底したり、店の内外をピカピカに掃除したりするのは当たり前。当初、厨房内は客席から見えませんでしたが、異例の再投資までしてオープンキッチンに改装し、臨場感を出しました。近くのホームセンターで私が花とプランターを買い、店の外に並べて華やぎを出したりもした。

 でも、結果が伴わない。しかも、開店から2年たった頃、私の立場に大きな変化が生じました。98年、二人三脚で経営してきた妻の直美に社長を譲り、会長に退いたのです。400店を超えていた時期で、日常業務は直美に任せ、私は一歩退いた会長という大局的な立場で経営しようと考えました。50歳になり、私の後任を準備する必要もありました。新体制の下、2000年には店頭(現ジャスダック)市場に株式公開しました。会社全体としては順調だったのです。