でも、そこからさらに大変でした。習慣は急に変えられないですから。それが5年前の話で、最近、ようやくバランスが取れたチームになった気がします。平和ボケもないし、戦ってもいない。

幸福について考えることが必要

 人間は競争するという要素がなくなると、自分で自分を律していかなければモチベーションが低下し、成長が止まる。それを防ぐのは簡単ではないということが、実体験でよく分かりました。

 ただそれは私のリーダーシップの問題で、もっとうまくハンドリングしていれば、平和ボケは起きなかったかもしれない。具体的には先ほどの内発的な動機付けをするといったことです。

 ですから、私自身も今なお、模索中なんです。競合相手がいない、お客様とも関係は良好、社内も仲がいい。三拍子がそろうことで幸福度は確かに高まる。ただ、自己成長しない組織では、それはそれで幸福ではない。

 でも、そうして幸福について考えるということが、経営者にはもっと必要ですよね。企業経営が人を幸せにするためにあるはずなのに、経営者が幸福というものに関心がないのは、やはりおかしいことだと思うんです。

(この記事は、「日経トップリーダー」2017年11月号に掲載した記事を再編集したものです)

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