選手をモチーフにしたクマのぬいぐるみが社長室に飾られている(写真:稲垣純也)
選手をモチーフにしたクマのぬいぐるみが社長室に飾られている(写真:稲垣純也)

 僕は新日本プロレスを興行会社からIP(知的財産)会社に変換したいと考えています。興行会社はチケットやグッズを販売する。それにも今まで通り取り組みますが、IP会社としてこの会社が生み出すブランドという資産をさらに有効活用したいと思っています。

子供の頃からプロレスが大好き

メイ社長はそもそもプロレスファンだそうですね。だからたくさんのオファーの中から新日本プロレスを選んだのですか。

メイ:プロレスは子供の頃から大好きなんですよ。自分の好きな仕事で、自分が得意とするスキルを生かせる。このコンビネーションで不思議なパワーが湧いてくるのです。新日本プロレスをもっと大きくしたい、そのために力になりたいと思っています。

突然、外国人の社長が来て驚いた社員もいたのでは。

メイ:僕は第一印象を非常に大事に考えています。商品を初めて買うときのパッケージ、味、雰囲気などはとても大切だと思う。

 僕は入る前に会社にお願いして、イメージ映像を作ってもらいました。なぜかニューヨークでのシャワーシーンから始まり(笑)、オファーを受け、社長として登場するまでがストーリー仕立てになっています。

 その上で、社員に安心してもらうために、「コストカットのために来たのではない。投資に来ているのだ。10年後、20年後のことを考えて今これをやらなければいけない」と説明しました。

試合会場でファンに手渡している「サポーター認定証」(写真:稲垣純也)
試合会場でファンに手渡している「サポーター認定証」(写真:稲垣純也)

 日本企業の優れているところは団結力です。ひとたび戦略や方針を共有すると、ものすごいパワーが生まれる。ただ、社長の言うことが一般社員まで素早く伝わらないのが難点。なぜなら階層がやたらと多いからです。

 そこで前職のタカラトミーでは、社長から新入社員までの階層を従来の12、13から半分に減らしました。おかげで意思伝達がスムーズになり、決断もスピードアップしました。今の会社でも風通しをよくしたいと思い、社長室のドアは常に開けています。最近は社員がちょくちょく相談に来るようになりました。

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