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 随分前の話になって恐縮ですが、僕が日本コカ・コーラに入社した当時、コカ・コーラという商品の売り上げは減り続けていました。消費者調査をして驚いたのが、20歳前後の男女でコカ・コーラを飲んだことがない人が2割もいたのです。

 理由は明確でした。30、40年前に20歳だった人たちをずっと追いかけていたからです。飲んだ経験がなければ好きになるわけがありません。

 そこでコアターゲットを若い世代にシフトし、広告宣伝をここに向けて集中投下したのです。まず駅前でサンプリングすることから始めました。炭酸離れや不健康なイメージが問題なのではなく、単純に知らないだけ。プロレスも同じです。

最後、3つ目の成功要因は?

メイ:少しでも多くの人に1回でもいいから、まず見てもらう工夫を重ねたことでしょう。どんなものでも体験してもらわないと魅力は伝わりません。

 とはいえ、我々は興行会社です。チケットを販売して会場に数千人、数万人を集める。必然的にキャパシティーは決まっていますから、そのままでは見てもらえる人数はそれ以上増やせません。試合数を増やそうにも、現時点で年間約150試合を開催。選手も休まないといけないし、移動もしますから、もはや限界です。会場を大きくすればいいじゃないかという発想もありますが、これも現実的とは言えません。

いつでもどこでも観戦

 ではどうするか。それにはテクノロジーの活用が鍵を握ります。代表的なものが、14年から始めた動画配信サービス「新日本プロレスワールド」です。インターネットがつながれば、いつでもどこでも好きな時間に世界中の人たちが見られます。現在、このサービスの会員数は約10万人、約半数が海外からの加入者です。

 先日、米サンフランシスコの大会で六千数百人が集まりました。日本の興行会社としては過去最高。来年の4月にはニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで大会を開催します。「1万6000人分のチケットが16分で完売した」と報道されました。マディソンの長い歴史の中でもこれほど早く売れたことはないようです。

 僕が社長になったからには今まで話してきた3つのポイントを強化するとともに、国際化により力を入れていきたいと考えています。

 現時点では英語コンテンツがほとんどありませんし、英語の解説も一部付けていますが、エモーショナルさが足りない。より臨場感あふれる解説ができる人をリクルーティング中です。

 もう1つ、国際化で重要になってくるのが法務。リーガルです。リーガルの考え方は、日本と海外では真逆と言っていいくらい隔たりがある。そういう意味でも、日本企業でも外資系企業でも働いた経験のある僕は力を発揮できると思っています。