介入が中途半端なマネジャーも、部下の望ましくない行動を止めるには不十分です。例えばどの会社でも、タクシーの利用ルールはあるでしょう。ルール違反と分かっていながら、急ぐためにタクシーを使った社員がいたとします。その段階でマネジャーが何も言わないと、どうなるか。
2回目はさほど緊急性はないのにタクシーを使う。そして3回目からは、その社員にとってタクシーに乗るのが当たり前になってしまうでしょう。「少しくらい見逃してもいいか」という緩さがルール崩壊を招くのです。
壁の場所は正しいか
細かく部下を指導したら、萎縮してしまいませんか。
山北:そんなことはありません。そこまでやってこそ、部下の行動が変わるのです。ある目標を定めて、そこに至るプロセスは社員に委ねるというマネジメントも、私は全く否定しません。社員がそうした期待に応えられるほど意識が高ければ、大丈夫でしょう。
けれど、現実にはそうした会社は少ないです。「ゴールはここだから、後は勝手にやってね」というマネジメントでは一部の社員しか思うように行動せず、組織のパフォーマンスは上がらない。そんな会社が大半です。
マネジャーが部下の行動にしっかり介入する。中小企業の場合は社長自身が介入したほうがいい。
部下からの反発に押されて、せっかくの壁を崩してしまうタイプは、経営者には少ないかもしれませんが、望ましくない行動ではなく、望ましい行動のほうに壁をつくってしまう経営者はよくいます。「そんなバカげたことはしないよ」と笑う人も、一度わが身を振り返ってみてください。
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