「欧州でいうと、ベルリンなどは今、先鋭的なビジネスを目指す若者たちが集まっており、シリコンバレーとはまた違った動きがある。フィンランドでも、スタートアップの運動が巻き起こっている。そんな新たな動きを抑えることに意義を感じている。

 また、イスラエル政府からは、日本のベンチャーとつながりを作りたいという要望をいただいている。イスラエルは、非常にベンチャーの活動が盛ん。そこに日本のベンチャーが行くことで、現地のアグレッシブさを学んでもらいたい」(経産省)

 欧州では現地の展示会にも出展し、日本のベンチャーが自社のビジネスや製品・サービスについてプレゼンを行う。

 そのため、「英語でしっかりとビジネスの理念や思想、世界観をプレゼンできる企業、あるいは、圧倒的な技術をデモによって見せることができる企業を選んだ」という。

 「世界的なイベントで、日本のテクノロジーはすごい、日本のビジネスはクールだと胸を張ってプレゼンしていただきたい。そうして、日本のプレゼンスを示していってほしい」と関係者は期待を寄せる。

 注目領域は、医療分野やヘルスケア、バイオやIoTなど。日本の強い技術力が発揮できる分野のベンチャーが多く選ばれた。

イスラエルに派遣される主な会社 概要
エルピクセル 人工知能を活用した医療画像診断支援システム
情報医療 スマホ遠隔診療プラットフォーム、人工知能を活用したヘルスケア・データソリューション
テクリコ VR・MRを活用したリハビリテーションソフトウェア
トリプル・ダブリュー・ジャパン 超音波センサーを用いて排泄を予知するデバイス
日本環境設計 再生ポリエステル樹脂の生産・加工
リーズンホワイ 患者を別の医師に紹介できる医師間ネットワーク・コミュニケーションツール
Authlete APIエコノミーの基盤技術実装のサポートを行うサービス
GRA 先端施設園芸における高品質イチゴの栽培
Rhelixa 短時間で平易にエピゲノムデータの情報解析を可能にするクラウドシステム

 イスラエルへの派遣が決まったトリプル・ダブリュー・ジャパン(東京・渋谷)は、介護領域において排せつを予知する技術「DFree」を開発する。

 今回の派遣に関して「我々の製品は世界共通で使えるものであり、海外展開は必須。介護は非常にセンシティブな分野なので、海外拠点をつくり、その国ならではの文化に寄り添いたい」と中西敦士代表は話す。

 派遣先にイスラエルを選んだ背景は、「現地のベンチャーのエコシステムがどのように展開していて、スタートアップの人々がどんなマインドで働いているかを見てみたかった。まだ行ったことがないところなので非常に興味がある」という。

 また、「介護保険のプランが充実している欧州から、今後の海外展開の一歩を踏み出したい。その後、米国、中国とつなげていく予定。欧州、米国と攻めるにあたり、まずはイスラエルでトライアルをしてこの先の展開につなげたい」と意欲を見せた。

海外で販路開拓やパートナー作りを目指す

 同じくイスラエルへの派遣が決まった、エルピクセル(東京・文京)の島原佑基代表は、15年に経済産業省の「始動NextInnovator」プログラムでシリコンバレーを訪問した経験を持つ。

 「シリコンバレーに初めて行き、イノベーションとは何か、スタートアップが成功するためには何が必要なのかなど、多くのことを学び、自分自身の視座がかなり上がった。それまではあまり会社の規模にこだわらず、資金調達もやってこなかったが、シリコンバレーに行ったことがきっかけで、資金調達してビジネスを大きくしていこうという決意が生まれた」と話す。