多くの人は自分の人生の目的を知らない

 アルベルト・アインシュタインは人生の目的を自覚する難しさについて、次のように語っています「奇妙なのは私たち大勢の人間だ! その誰もがこの世でつかの間の時を過ごし、その目的については、時には感じ取ったと考えるが、知る者はいない」(Albert Einstein『The World as I see it』)と。

 

 自分が取り組んでいると生き生きすること、わくわくすることをしっかりと理解する。その気付きを体得することが大切です。マインドフルの気持ちでいると、「本当の自分」が分かる時が来る。そこで、自分がリーダーとして何をするべきかを自覚したとき、リーダー自身の人生に目的が生まれ、大きく成長します。

 では、最後の体験学習に移ります。模造紙とペンを配るので、大きく半月を描いてください。半月の見えている部分(光が当たっている部分)に自分が取り組んでいると生き生きすることを書き込んでください。一方、半月の見えない部分(影の部分)に、自分の心の傷や弱い部分、人に見せたくない部分を記入してください。その上で、その弱い部分を光の当たるほうに持ってくるとしたら、どのような取り組みができるかを書き出してみてください。言葉でも絵でも構いません。

 私の例を挙げましょう。スタンフォードの学生に心の教育をするのに15人くらいがちょうどいい。一人ひとりをじっくり把握できるから。これが半月の光の部分。一方、自分は何百人もの前で話すと緊張する。これが影の部分です。 でも、本音では一人でも多くの学生に教えたい。では実現するにはどうするか。よく考えてみれば、講演会の時には千人もの前で話すこともある 。そのときにできるのだから、大学でもできるはず。そう考えて実行する。こんな具合です。

(経営者が10分で模造紙に自由に書き始める)。それでは代表的なものを一つずつ発表してください。

人生の目的を探すための体験学習に取り組む中小企業経営者たち

「他人と競争するのが苦手。その短所を明るい部分に持ってくるとしたら、自分が積極的にアイデアを出して、他人と違うことをやる。それで生き残りたい」
「私はいつも自信がなくて、臆病で、依存心が強いし、人に嫌われたくない。でも、本当になりたいのは強いリーダー。ぶれない軸を持って行動するリーダーになりたい。だから、小さいことでも率先垂範することから始めたい」……。

若い頃悲観的でも年を取るほど楽観的に

 この体験学習をすると、どうしても自分自身のことを振り返ってしまいます。私の専門は臨床心理学。臨床心理学の基礎を作り上げたジークムント・フロイトは「人間の性格は3歳までに決まる」と述べています。この部分だけを切り取ると、その後の人格形成には手の施しようがないというネガティブな考え方になってしまいます。私も若いときは、そう悲観的に考えていた部分がありました。しかし、マインドフルネスを知った今は、あるがままの自分を受け入れれば、人間は大きく成長できると確信しています。ですから、今は楽観的です。実際に私自身、年は取りましたが、若い頃よりも大きなことにチャレンジできるようになりました。

 今日も皆さんにうまく自分の考えを伝えられるか最初は不安でした。しかし、4時間たった今、皆さんの一体感のある雰囲気を感じることができ、ある程度理解してもらえたのではないかとほっとしています。自分なりの方法でこれからも教えていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

(構成:久保俊介、編集:日経トップリーダー

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