SAPはデザイン思考を15年ほど前から社内に取り入れて事業に生かしてきました。その効果がここ5年で次々に花開いてきたというわけです。
特に効果があったのは、B to B to Cのスタンスで顧客と一緒に問題を解決できるようになったこと。例えば、自動車メーカーと一緒にドライバーがどのようなときに苦痛を感じるのかを探し出し、問題解決のためにデジタルの力が必要になった場合、当社がノウハウを提供して対価をもらうといった具合です。これができるようになって業績が大きく伸びました。
日本企業とのコラボレーションでは、建機メーカーのコマツとの事業の例があります。建設業界は今、新築や建て替え需要が多く非常に仕事が多い。しかし、今後10年で人材が100万人に減って仕事の担い手不足に陥ることが目に見えています。そこで、当社やNTTドコモなどと組んで、建設プロセスを自動化するIoTのプラットフォーム(事業の基盤)をつくることにしたのです。
社会的課題のヒントは数多く転がっている
こうした社会的課題の解決に貢献することをSAPも重視しています。では、その社会的課題とは何なのか。さまざまなところにヒントは転がっています。国際連合が2015年に打ち出したSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)はその代表例。30年までに実現すべき17種類の目標を掲げており、そのためにすべきことがさらに細かくひも付けされています。
皆さんの会社も今日の私の話をきっかけにして既存事業を抱えながら、新規事業開発に成功してほしいと思います。ご清聴ありがとうございました。
(構成:久保俊介、編集:日経トップリーダー)

現地の専門家の講演などを聞くことができる、シリコンバレー視察研修を実施しています。現地に拠点を構える日系企業で、米・スタートアップ企業と日本の中小企業の協業を支援する、ブリリアント・ホープが主催。日経トップリーダーと日経BP総研 中堅・中小ラボが企画・協力しています。対象者は、中堅・中小企業経営者向けの通年セミナー「日経トップリーダー大学」を受講した経営者およびその関係者です。来年も開催を予定しています。「日経トップリーダー大学」やシリコンバレー研修の詳しい内容についての質問はこちらのお問い合わせフォームからお願いします。
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