本島社長は岩渕選手に会うと、こう質問した。「パラリンピックの卓球は、やはり中国が強いのですか」。
 答えは意外なものだった。「パラリンピックの場合は、選手を支えるシステムがしっかりしているウクライナやドイツの選手がとても強いです」。

 この話を聞き、「パラリンピックは、選手を支える国や国民の意識の高さや気持ちの大きさで競う大会なのではないか」と感じたと本島社長は語る。

サポーターの応援Tシャツを作ろう

 本島社長が、岩渕選手のスポンサーになろうと決めたのは、自社の製品を通して力になれるのではないかと考えたからだ。「人は、ユニフォームを着ることで、意識が高まったり、気合が入ったりする。ユニフォームには大きな力がある。そうだ、岩渕選手のサポーターが着る応援Tシャツを作ろう」。1枚3000円で販売し、売り上げは両親のリオデジャネイロへの渡航費として贈ることに決めた。

岩渕選手と、ハンデのある左脚をモチーフにした応援Tシャツ
岩渕選手と、ハンデのある左脚をモチーフにした応援Tシャツ

 デザインは、本島社長の息子である数馬氏が中心となって作った。社内のデザイナーとともに岩渕選手に意見を聞き、障がいのある小さな左足のイラストを背中に入れた。ラケット5個を円形に並べて桜に模した、日本らしさを表すデザインも加えた。

 「このTシャツを着ることで、応援する人の心がひとつになる。私たちもこれを着て一緒に戦います。だからどうか、無心に戦ってください」。セレモニーでは、本島社長から岩渕選手にメッセージが伝えられた。

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