AIを活用できるのは、何も大企業だけではありません。スーパーやコンビニに押され、今、瀕死の危機に立たされている地方のパパママストア。こうした零細商店もAIの使い方次第で生き残ることができる。これらの商店は、キャットフードとヨーグルトを毎朝買いに来るおばあちゃんのような“超お得意さん”を2人くらい抱えていれば、十分経営が回ります。ただ、2人が1人になった途端に経営が苦しくなる。
2人をつなぎとめるために、彼女たちがいつ何を買っているかをPOSレジの購買データで調べ、毎回きちんと品ぞろえしておく。こういったことは既にできます。しかし、新たにお得意さんになり得る人が、どの商品を買わなかったかまでは分かりません。それがAIを活用すれば、予測できる確度が高まる。

例えば、レジとスマートスピーカーを連動させたとしましょう。あるお婆さんが来て、キャットフードの棚を見ていて結局、ヨーグルトしか買い物かごに入れなかったとします。
おばあちゃんがレジに来たとき、お店の人が「お探しのものはございませんか?」と尋ねる。「うちのタマは、○×印のキャットフードしか食べないのよ」という答えが返ってきたら、AIがその人は新たな超お得意さんになり得るかどうかのポテンシャルを即座に計算し、その結果を基にキャットフードを発注する。お店の人には「次回からそろえておきます。木曜日には店にありますから」と、分かりやすい返答を促す。その結果、このお婆さんが超お得意さんになれば、このパパママショップの経営はより安定的になり、高齢化が進んで遠くのスーパーに買い物に行けなくなる近所の人が増えるまで、持ちこたえることができるでしょう。AIを使えば、こんなことが可能になるのです。
問題定義の力があれば、零細商店も生き残れる
つまり、ここで重要になるのが、冒頭で話した問題定義の力なのです。お客さんが求めているものは何か。それを導き出すにはどのようなデータを集め、どのように分析すればいいのか。トライアル・アンド・エラーも含めて、いかに自ら仮説を立てて検証できるかどうかがAIを使いこなす際の鍵になります。
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