青野:長期ビジョンに立って、社員の幸福を実現するいい会社をつくりたいという考えは、私も大前提として持ち続けています。

<b>青野慶久(あおの・よしひさ)氏</b><br />1971年愛媛県生まれ。大阪大学卒業後、松下電工(現パナソニック)に入社。97年に3人でサイボウズを設立。05年社長に就任した
青野慶久(あおの・よしひさ)氏
1971年愛媛県生まれ。大阪大学卒業後、松下電工(現パナソニック)に入社。97年に3人でサイボウズを設立。05年社長に就任した

 ただ、時代の流れに合わせて、経営理念の表現はバージョンアップしてもいいのではないでしょうか。

 ベースラインとして、人が幸福になるという経営の目的があり、それをどのような言葉で表現するかが経営理念だと思うんですよ。今は私が「チームワークあふれる社会を創る」と掲げています。

 でも、これから当社のグローバル化が進むと、「日本語が分からない」と外国人社員から言われることがあるかもしれない。あるいは、こういう言葉をもう少し加えてほしいと、次世代の社員が思うかもしれない。そうした場合には表現は変えるイメージです。

「みんなを幸せにすること」が経営の目的という考えは2人とも共通です。しかし、塚越会長は、表現自体も変えてはいけないというスタンスだと思いますが。

塚越:私は、経営理念は動かしてはいけないと思っています。目標と目的は別です。売り上げなどの数字は目標だから、状況によって変えてもいい。目的はみんながハッピーになること。それは永遠に変える必要がありません。

顧客第一主義を経営の目的に掲げるのは「誤り」

青野:目的と目標を履き違えるという意味では、顧客第一主義を経営に掲げるのは、どうなのかなと思います。

塚越:それはやはり目標であって、目的ではありません。経営の目的は、全部の産業で一緒、地球上のあらゆる会社で共通です。人が幸福に生きること。ハピネスです。

青野:ハピネスという言葉が軽視されている気がします。

塚越:弱々しいと言われたりする。しかし、それこそ、すべてではないかと思う。経済界に欠けがちなところです。

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