徳重:事業部長から上のレベルのリーダーは、そのための発想力を持っているべきです。

「発想力」とは何ですか。

<span class="fontBold">田所雅之(たどころ・まさゆき)氏</span> ベーシック(東京・千代田)チーフストラテジックオフィサー。1978年生まれ。2017年、ユニコーンファーム(東京・港)を設立し、スタートアップの育成支援に注力する。同年に出版した『起業の科学 スタートアップサイエンス』(日経BP)がベストセラーに
田所雅之(たどころ・まさゆき)氏 ベーシック(東京・千代田)チーフストラテジックオフィサー。1978年生まれ。2017年、ユニコーンファーム(東京・港)を設立し、スタートアップの育成支援に注力する。同年に出版した『起業の科学 スタートアップサイエンス』(日経BP)がベストセラーに

田所:例えば、2023年の世界はこうなるという解像度を高め、そこから逆算して、今やるべきことを描き出す仮説力です。そのために必要なのは、視野の広さ、大局観です。

 規制の変化、消費行動の変化、テクノロジーの変化、そして人口動態。これらを頭に入れた上で、未来の世界の解像度を上げていく。

いろいろ「やらかして」いると勘が身に付く

徳重:それには、失敗を踏まえた肌感覚と勘が大事です。現場で戦ってないと分からない。

 若い頃から失敗して、いろいろ「やらかして」いると、研ぎ澄まされた勘のようなものが身に付いてくる。経験はとても大事です。

 失敗する機会があまりにも少ないという点は残念です。

新規事業の創出には、ノウハウよりも勘が求められるのでしょうか。

徳重:ロジックやフレームワークは、過程をショートカットできる知恵として非常に素晴らしい。ただ、一方で実際にやってみないと分からないこともある。

 僕もMBA(経営学修士)は持っていて、財務の知識は大事だと思っていますが、結局やってみないと感覚は身に付かない。特に海外のビジネスは、いろんなところにリスクがありますから。

 今、ベトナム、インド、バングラデシュなどに進出していますが、既に海外で失敗の経験もしてきたので、リスクを取りやすいです。

徳重さんはベトナムで一度失敗を経験をしています。電動バイクの製造拠点をつくり、若手幹部に任せたものの思うように売り上げが伸びず、幹部社員の辞職で混乱。2015年にご自身が現地に駐在し、体制を立て直しました。

徳重:私にとって、非常に貴重な経験でした。経営とは、リスクを取る部分と、リスクをヘッジする部分の両方がなければいけない。そのバランスを取りながら意思決定していくものだと学んだ。

 たまたまうまくいった人でも、たった1回の失敗ですってんてんになる場合がある。それは、失敗の経験がない人なのでしょう。

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