塚越:最近はそうですね。号令をかけなくても、みんなが行動してくれている。

 去年の春、本社から少し離れた場所に新しい工場を建てたときがそうでした。「工場の前に花壇を作ってほしい」と社員が言うのです。なぜかというと、多くの人が朝の通勤渋滞を避けて自主的に早めに出社しているから。せっかくなら会社に着いてから始業までの時間を有意義なことに使いたい。花壇があれば花を植えたり、手入れしたり、職場を快適にする活動ができる。必ず徹底的にやるからと強く言う。それで実際に作ったら、丁寧に草花を育ててくれています。

青野:面白いですね。

塚越:会社が作っておいて、手入れしろというのが普通です。しかし、当社は逆です。

社員の提案で会議室にキッチン

青野:うちで言うと、キッチンが少し似ています。欲しいと言い出した社員がいたんですよ。しかも会議室に。生ゴミが出るから臭くて嫌だとか、反対意見が結構出ました。

 そうしたら、有志が「私たちがメンテ(ナンス)する」と言い出した。自立と責任が担保されると考えて、最終的に設置を許可しました。すると、社内イベントが開けるようになったんです。社員が手料理を作ったり、コックさんや板前さんを外から呼んできたりしてワイワイやる。チームワークも高まります。

 同列に並べるのはおこがましいのですが、塚越会長も私も、社員の提案を受け入れて働く環境を整えてきた方向性は共通する気がします。自然派か都会派かの違いはありますが。

青野 慶久(あおの・よしひさ)氏
1971年愛媛県生まれ。大阪大学卒業後、松下電工(現パナソニック)に入社。97年に3人でサイボウズを設立。2005年社長に就任した

塚越:青野社長のセンスでしょう。既存の発想で会社を四角四面に捉えていないから、そうなる。

 私も年の割にはセンスがあると思っています(笑)。若い頃から、寒天の原料を探して海外を飛び回ったから、その影響を受けている。森の中に会社をつくる発想は、スウェーデンの企業に倣いました。

 ストックホルムから70キロほど北に行ったところに、ウプサラという町があります。そこに昔、大手製薬会社があって、商品を売り込みに行ったことがあるんです。商談が思いのほか長引いて、宿に帰れなくなってしまった。その私に、「ゲストハウスに泊まって行け」と言う。それで厚意に甘えさせてもらいました。