塚越:根本の思いは私も一緒です。表現は異なるかもしれませんが。

 人生たった一度だけなのに、家庭だけが幸せな人生を送れる場所で、職場はつらくてもいいという発想の会社が結構ある。でも、それでは、その社員の人生が半分駄目になってしまいます。

青野:もったいない。

塚越:ですから、家庭でも職場でも、社員が幸せな人生が送れるように、まずは「職場を快適にしよう」と。そうした思いで環境整備を始めました。青野社長と同じです。

青野:この本社は、まさに快適ですよね。建物を取り囲む森。そこを歩くだけでも幸せを感じます。並々ならぬ熱意が伝わってきます。意思を持って投資していますよね。

塚越:当社は工場内もきれいです。取引先の食品メーカーが、安全性の監査によく来ます。先日も大手が来社したとき、驚いていました。少し見学しただけで、「今までの取引先で、こんなきれいな工場は見たことがないから、もう十分です」と言って、後は書類だけ見て帰りました。

青野:それは素晴らしい。

社内で経費節減はNGワード

塚越:この会社の目的は、みんなが幸せになること。

 当社は経費削減という言葉は使わない。その代わり、社員に「快適になる提案をしなさいよ」と言います。

 快適がキーワードです。カイゼンではありません。

 トヨタ自動車のカイゼンは、コストダウンしながら生産性をアップするのが目的です。それも大事ですが、職場を快適にすれば社員のやる気が出て、結果的に生産性が上がる。相対的にコストも下がる。この話をすると、視察に来たトヨタ関連の会社の人たちは、みんなメモします。

 快適にすべき場所を見つけるポイントとして「形容詞をイメージしなさい」と私はアドバイスしています。

 例えば、重い、暗い、寒い、つらい、汚いといった視点で探す。そういう場所をみんなで快適に変えていきましょうと。「華美にはしないが、貧相にもしないよ」と方針を伝えたうえで取り組んでもらっています。

青野:確かに、華美は快適ではないですよね。

塚越 寛氏

塚越:当社に労働組合はありませんが、私自身が労働組合の委員長みたいなものだと言っています(笑)。社員に要求される前に、私から次々に発案して環境整備を実行してきた。今は社員が自分たちで取り組んでくれるようになりました。

青野:社員が自ら発案するのですか。