スズキ機工の沿革と主な製品
顧客の生の声が成長のきっかけ(中写真/菊池一郎)

 ベルハンマーの担当営業は3人。この商品に関してはエリアを限定せずに活動している。機械の製造販売と異なり、頻繁に顧客訪問をする必要がないからだ。

「むしろ全国展開すべき」と、東京ビッグサイトで開催された展示会などにも出展。類似品との性能の違いが分かる装置を自作し、来場者に体験してもらっている。

 その様子がテレビ番組で取り上げられたことがきっかけで、注文が殺到。現在では年間400万本(約1億8000万円)を販売するまでに成長した。「日本国内のみならず、世界市場も狙える」。鈴木社長はこう期待を寄せる。

事業戦略を頑なに守る

 スズキ機工の16年6月期の売上高は4億3000万円、経常利益は3200万円。自社ブランド事業を育成するため、この期は広告宣伝費に3400万円を投入している。こうした積極的な投資ができるのも、独自の事業戦略に忠実だからに違いない。

 それにしても思い切った決断だ。「近くの顧客だけ」という方針を立てても、受注金額が大きければ思わず遠方の仕事に手を出したくなるものだ。

 しかし鈴木社長はそんな誘惑にかられないよう、経営計画書に事業方針を明記し、社員との約束事にしている。エリア内をくまなく回り、顧客の声を聞き続けることがスズキ機工の生命線だと、社員と自分に強く言い聞かせている。

 加えて、経営計画書で、新規プロジェクトは継続的に利益が上がる事業に限定している(3ページ目参照)。目先の売り上げではなく、利益率を重視する精神を社員に植え付けるためだ。

 社長になって間もない頃、パート社員にこう言われた。

「社長が1日中営業に飛び回り、夜遅くまで頑張っているのは知っています。でも、工場の人たちは昼間、会社の前にたむろして、夕方になってから仕事を始めて残業していますよ」

 しかし今は違う。自分も社員も近場で動いているので、コミュニケーションがすぐに図れる。意思疎通が増えれば、社内の風通しもぐっとよくなるというわけだ。

「あの事件がなかったら、こんな変わった戦略を打ち出すことはしなかった。きっといまだにうだつのあがらない会社だったはず。今となっては、気づきを与えてくれたと感謝している」と鈴木社長。今後も、独自のエリア限定戦略を推し進めていく考えだ。

(この記事は「日経トップリーダー」2017年3月号の特集の一部を再編集したものです)

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