「営業担当者一人ひとりの能力がアップすれば、チーム全体の成果がアップする」という考え方が営業幹部の間には根強くあります。一見するとごく当然のことのように思えるかもしれません。

営業チームの成果を左右するのはリーダーの器

 しかし、これは誤った考えです。営業チームの成果は営業担当者一人ひとりの能力の総和で決まるのではありません。営業担当者個人の能力よりも、営業チームのマネジメントのありかたの方がはるかに大きな要因となります。営業チーム全体の能力は、そのリーダーの器以上に大きくなりません。営業幹部のマネジメント力を磨くことこそ、会社の営業目標を達成するための一番の近道です。

 営業担当者全員のスキルや能力を、売り上げの成績で上位20%の「できる営業」のレベルにまで近づけようとしている会社がありますが、ここにも大きな誤解があるようです。考えてもみてください。どんな人にも得意なことと不得意なことがあり、能力の違いや性格の違いもあります。いろいろなタイプの人がいるのですから、全員を等しく上位20%のレベルに到達させるのは、目標の立て方として無理があります。人材育成の基本は、それぞれの人の個性や能力に合わせて、個別に指導するということです。

営業で成果を出すにはチームマネジメントが欠かせない
営業で成果を出すにはチームマネジメントが欠かせない

 上位20%の「できる営業」の人たちは、上司があれこれ指導しなくても成果を上げていきます。チーム全体の営業の力を高めるには、むしろ残りの8割の人たちをいかに指導するかがカギとなります。彼らが成果を出しやすい社内の仕組みを用意した上で、具体的な指導をするべきです。

 彼らが働きやすい社内の仕組みとは、営業チーム全体が情報を共有し、有望な顧客ターゲットのリストを用意するなどして、彼らが効率よく営業活動に打ち込めるようにしてあげるといったことです。

 嘆かわしいのは、部下の営業成果の数字にしか関心のない営業幹部が多いこと。部下がどんな能力を持っているのかを把握しないで、適切な指導ができるはずがありません。

 営業戦略を立てるということは、自社の誰をどんな顧客、どんなマーケットに投入するのかということ。顧客、マーケットに対し、自社の人員をどう組み合わせるかに営業の成績は大きく左右されます。営業戦略づくりの重責を担うのが営業幹部です。部下のことをよく知り、部下との仕事上のコミュニケーションがきちんとできる人でないと務まりません。

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